実話系・怖い話「マラリア」
マラリアは、人の体内にマラリア原虫という単細胞生物が寄生することで起こる感染症です。
熱帯・亜熱帯気候の地域で主に発生していて、三大感染症の一つに数えられる程、現在でも世界規模で患者数の多い病気となっています。
毎年3億人近い方が感染しており、とりわけサハラ砂漠より南のアフリカで多発しています。
ちなみに三大感染症には他にエイズ、結核があります。
感染経路
マラリアの感染経路ははっきりしていて、マラリア原虫の宿主である蚊(ハマダラカ)が人を吸血することで感染します。
ハマダラカが吸血する際、蚊から人へとマラリア原虫が移動します。人の体内へ移動したマラリア原虫は、およそ45分で肝臓へと辿り着き、そこでまず成長・増殖します。
増えた原虫は赤血球へ移動して増殖すると、今度は赤血球を破壊して血液中へ流れ出します。そして再び赤血球へ移動して増殖をし、また破壊して流れ出す…というサイクルを繰り返します。
マラリアは人から人へ直接の感染はないとされていますが、マラリアに感染した人を吸血した蚊が、再び他人を吸血して感染が広がる可能性もあります。また輸血で感染が広がることも考えられます。
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症状
マラリアは体内に入った原虫の違いによって、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵形マラリア、熱帯熱マラリア、サルマラリアに分類されます。
感染すると、およそ10~30日後に症状が現れます。
主な症状は38度以上の高熱ですが、数時間で下がるという特徴があります。熱の他、全身の倦怠感、吐き気、頭痛、腹痛、下痢など、風邪やインフルエンザに似た症状があらわれます。
三日熱マラリアはおよそ48時間おき、四日熱マラリアは72時間、卵形マラリアは50時間ごとに、高熱に見舞われます。これはマラリア原虫が赤血球を破壊するタイミングと同期しています。
熱帯熱マラリアはこの周期性が薄く、常に高熱が出ます。
早期で適切な治療がされれば致死率はさほど高くない病気ですが、感染者数が圧倒的多数なため対応が追い付かず、年間万単位の方が亡くなっているのが現状です。
熱帯熱マラリアとサルマラリアは重症化・合併症が誘発されやすく、とりわけ近年に発見されたサルマラリアは、急激に原虫が増殖して赤血球を一気に破壊するため注意する必要があります。
一般的に3度目の高熱が発症するなど治療が遅れた場合や、小さな子供などは重篤な状態に陥ってしまいます。
マラリアの合併症には、脳や多臓器の障害、重症貧血、内出血、肺水腫、黄疸、尿の異常など、様々な症状が出てきます。
合併症を誘発してしまうと、致死率も高まります。
治療・予防方法
マラリアは治療・予防ができる病気です。
予防のために最も重要な事は、とにかく蚊に刺されないということです。
なるべく肌を露出しない、虫除けスプレーを使用するなど、蚊に刺されない環境作りに着手するだけで、マラリアの感染は劇的に減らすことができます。
マラリアへの効果的なワクチンはまだありませんが、現在開発中なので実用化が待たれます。
治療は原虫の種類に合わせた投薬が有効です。
しかしそれらの薬は禁止事項や副作用が強く、近年では薬に耐性を持ったマラリア原虫もみられるため、専門知識を持った医師による早期の診断・治療が重要となります。
日本でも昔はマラリアが定着していましたが、環境の変化と相まって1950年頃撲滅されました。
ですが現在では海外旅行者がマラリアに感染して帰国してしまうケースが後を絶たず、毎年約100人前後が感染しています。
診断が遅れて死亡に至ることもありますので、海外に行って帰ってきたら具合が悪い場合は、早めに病院へ行かれることをお勧め致します。
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