恐怖の泉

実話系・怖い話「結核」

結核(けっかく)とは、抗酸菌という細菌の一種である結核菌に感染することで発症する伝染病です。

結核は治療方法が発見されていない頃、「不治の病」「難病」として恐れられていました。
かつて日本でも国民病・亡国病として猛威をふるい、死亡原因の1位となっていた時代があります。日本でここまで結核が蔓延した理由として、日本の気候は結核菌が活動しやすい多湿な環境であることが一因です。

予防・治療方法が発見されて過去の病気と思われがちですが、世界的に流行は続いていますので注意が必要です。現在の日本においても、高齢者を筆頭に年間万単位の患者が発生していて、先進国の中では結核の蔓延国とされています。
近年では治療薬の効かない耐性菌も出現していますので、適切な治療や予防などの対策が望まれます。

スポンサーリンク

感染経路

結核菌は感染力が強く、感染経路は肺結核が発症した患者の咳やくしゃみなどを介した空気感染です。接触等ではうつりませんし、感染しても発病しなければうつりません。
以前は滅菌処理していない牛乳から感染する場合もありましたが、現在の日本ではそういった事態は発生していません。

結核の怖い所は、感染してしまうと体の免疫機能では菌をやっつけたり排出することが困難な所にあります。

通常、人の体に悪い菌等が侵入するとマクロファージという免疫細胞が働いて防衛してくれます。
ですが結核菌は特殊な細菌で、マクロファージの攻撃を受けても生きていける冬眠のような構造を持っていて、体内に留まり続けます。この際、免疫細胞が結核菌を核にして取り囲む様子が「結核」の名称の由来となっています。その間はどんな治療も効きません。

また結核菌は潜伏期間にかなり幅があり、感染しても症状が出る確率は低いものの、いつ発病するかわかりません。なんか咳などの風邪症状が長引くな~と思っていたら実は結核で、診断を受けた時には既にまわりに感染していた、という事態も有り得るので怖いです。

これら結核菌特有の厄介な特徴により、対策をしても結核を撲滅できていないのが現状です。

症状

結核といえば空気感染するというイメージから、肺の病気と思われがちです。
確かに感染すると肺へ症状が出る方が8割以上と大多数を占めますが、結核菌自体は全身に感染することができ、胸膜、骨、リンパ節、髄膜、腎臓、皮膚などに症状が現れることが多いです。

結核菌に感染後すぐに発病することを「一次結核」と言います。一次結核は、免疫の弱っている方などが発症します。しかしほとんどの方は無症状で、後で発病する「二次結核」となります。
二次結核の場合、感染後およそ1年内で半数の方が発症しますが、人によっては数十年後などの長い期間をおいて発症します。結核菌感染者で二次結核となる患者は10~20%ほどと言われていて、発病しないままで感染したことすらわからない場合が大多数です。

結核菌が長い潜伏期間をおいてから発病する仕組みは解明されていませんが、高齢化、栄養不足、疲労、他の病気などで免疫力が低下した場合に症状が出る傾向があります。

肺結核を発病すると、全身の倦怠感、食欲不振、咳、痰、微熱、寝汗などの風邪様症状が出ます。風邪と違うのは、これらの症状が長期に渡って続くことです。
症状の進行は遅いですが、長引いていくとさらに息切れ、体重減少、血痰や喀血が現れ、重症化すると呼吸困難となって死に至ります。

結核菌が増殖した肺の部位は化膿してドロドロに溶けていきます。肺結核の場合は咳こむことで、溶けた肺の部位ごと菌がばらまかれ(排菌)、他人へと感染が広がります。

結核の病巣が血液に乗り全身にばらまかれると「粟粒結核」となります。
高熱や衰弱等の全身症状が起き、感染部位に粟状の結核病巣が発生します。
危険な症状ですが、早期に適切な治療をすれば助かります。

粟粒結核を発症すると髄膜で結核菌が病巣を作り、「結核性髄膜炎」へ移行する場合もあります。
結核性髄膜炎はBCGを受けていない乳幼児が発病することが多かったのですが、予防接種が普及した現在では成人に多くみられます。
症状は発熱、強い頭痛、悪心、嘔吐、食欲不振などの髄膜炎特有の症状から、意識障害、水頭症などが起きます。
結核性髄膜炎も早期に治療すれば助かりますが、対応が遅れると死亡率は30%以上と怖い症状で、助かった場合でも25%ほどの患者に知能障害や麻痺など重い後遺症が残ってしまいます。

肺結核に限らず、初期の結核の症状は特徴がなく自己判断は難しいです。
目安として、2週間以上咳・痰・微熱などの症状が続く場合は病院へ行った方がよいでしょう。
ちなみに肺結核を発症して治療をしない場合の死亡率は約50%ほどです。治療をすれば10%以下にまで下がります。

治療・予防方法

昔は医者もさじを投げる結核でしたが、現在では重症化する前に適切な治療をすれば治る病気です。

日本における結核の治療は、複数の抗生物質を使用する手法が利用されています。詳しい説明は専門のサイトが他にございますので、ここでは割愛させて頂きます。

近年では抗結核薬が効かない耐性菌が出現していますので、専門家の確実な治療を受ける必要があります。
結核と診断されたら、医師の診断の元しっかりと治療しましょう。自己判断して途中で止めるような事は耐性菌を生み、治療が困難な結核が蔓延する元となりますので絶対にやめましょう。

結核の予防方法としてはBCGがあり、乳幼児における結核発病のリスク(特に結核性髄膜炎や粟粒結核といった重症化)が大幅に減らせるため義務づけられています。
ですがBCGは子供に対する効果は高いものの、成人の結核予防には効果が低下します。またBCGを打ったからといって安心はできず、その効果はおよそ10~15年と終生免疫がつくわけではないので注意が必要です。

結核は今でも身近で怖い病気ですが、ちゃんと治療すれば治ります。
結核にならない、させないためにも毎年健康診断はきちんと受診する、咳・発熱・痰などの症状が2週間以上長引く場合は病院へ行くという心掛けが大切です。

公益財団法人結核予防会

前の話幽霊のイラスト次の話

スポンサーリンク

TOP