恐怖の泉

実話系・怖い話「VXガス」

VXガス(ブイエックスガス)は、人類が作り出した化学物質の中でも最強とされている猛毒の神経ガスです。科学名は「O-エチル-S-(2-ジイソプロピルアミノエチル)メチルホスホノチオラート」。

特徴

常温では揮発性が低く、琥珀色をした無味無臭の油状液体です。水には溶けにくい。
人の体内へは呼吸及び皮膚の付着で吸収され、健康障害を引き起こします。

科学的性質が安定しているため、一度使用されると一週間ほどVXガスは散布空間へ留まり続けます。衣類や木材に付着した場合はさらに長い期間汚染が続き、触っても汚染されるためガスマスクのみでは防御しきれません。
VXガスの怖い所は高い致死性だけでなく、この科学的に安定していて被害が拡大しやすいという点にあります。

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症状・対策

VXガスの中毒症状は痙攣、嘔吐、呼吸困難、意識障害、心肺停止です。
重度の中毒だと、突然意識を失って数分内に痙攣と心肺停止を起こし、曝露者は体調変化に気づく間もなく死に至ります。

半数致死量は体重1kgあたり0.02mgとごく少量で、例えば体重60kgの人間の皮膚にVXガスが10mgほど付着しただけでも致死的です。兵器として散布されれば、11リットルもあれば100万人中50万人が死亡、残りの50万人が重体になるとされています。

VXガス中毒の治療には、プラリドキシムヨウ化メチル・通称PAM(パム)やアトロピン等が用いられ、適切であれば回復できます。
しかし急激に体調が悪化するため、最初からVXガスによる中毒と疑わなければ対処できません。

上記したように水には溶けにくいため、汚染された場所は科学洗浄が必要となります。

兵器としての利用

VXガスは1950年代のイギリスで開発されました。その用途も軍事利用、つまり殺傷という、いわば人類の負の研究が生んだ産物です。
現在では化学兵器禁止条約によって使用禁止はもちろん製造・保存・研究にも制限がかかってはいますが、テロリストなどによる利用が懸念されています。

実際の使用は残念なことに、日本で起きてしまいました。
1994年、オウム真理教のテロ行為によってVXガスが利用され、1人の方が亡くなっています。
平和だと思われていた日本でこのような大事件が発生したことは、世界中を震撼させました。
また2017年にはマレーシアで、金正男の殺害事件にVXガスが使用されています。
金正男は、顔部分をVXに曝露後20分以内に亡くなっており、VXガスの持つ危険性が改めて浮き彫りとなりました。

フィクションにも登場していて、とりわけ有名なのが映画「ザ・ロック」でしょうか。
作中には破傷風に似た症状もあり誇張して描かれていますが、恐ろしい毒物であることに変わりはありません。

VXガスが日の目を見ることがないよう、願ってやみません。

VXガスの持つ毒性は、ごく少量でも多数の屍を生むほど高い。

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