恐怖の泉

実話系・怖い話「母の夜食」

これは私が経験した、摩訶不思議な出来事です。

12月はもうすぐ年末という頃。
大学受験を間近に控えていた私は、最後の追い込みで深夜まで机に向かう日々を送っていました。

「夜食持ってきたわよ。」

夜の12時頃だったでしょうか。
いつものように勉強していると、母が食事を作ってくれたようです。
母は勉強漬けの私にいつも気遣いの言葉はかけてくれますが、夜食を作ってくれたのは初めてでした。
丁度お腹も空いていましたから嬉しい限りです。
「ありがとう!」
返事したのですが…母はドアを開けようとしません。

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しばらくするとまた
「夜食持ってきたわよ。」
そう言うので、ひょっとして手が塞がっているからドアを開けて欲しいのかな?と思いドアを開けます。
しかし私はそこでフリーズしてしまいました。
部屋の外には誰も居ないだけで無く、階段から見える1階も真っ暗です。

え?どういう事?

全く想定外の出来事に、理解が追いつきません。
急いで1階へ降り、両親の寝室を見てみましたが、父母共にぐっすりと寝ていました。

翌朝、母に尋ねてみました。
ですがやはり、母はすっかり寝ていて起きていなかったそうです。
「あ、そういえば…。」
母は何かを思い出して続けます。

「お母さん、そういえば夢を見てさ。
あなたが勉強頑張っていたから、夜食でも作って届けてあげようと思ったの。
で、夢の中で夜食を作って届けようとしたんだけど、なぜか家の階段をいくら上がっても2階に辿り着けなくって!
そのうち疲れてご飯も冷めちゃったから、自分で食べちゃった、って夢。」

あの時、「夜食持ってきたわよ」と言ったのは誰だったのでしょうか。2度はっきりと聞いたので、聞き間違いではないと思うのです。声も母に間違いないと思います。
そしてそれは母が見た夢と、何か関係があるのでしょうか…。

私には知る由もありません。

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