恐怖の泉

実話系・怖い話「同じお墓」

これは私の祖母の、本当にあったお話です。

私は祖母、両親、私達姉妹の3世代で同居していました。
私が成人して間もない頃、祖母は認知症となってしまい、時折おかしな言動をしてしまう事が多くなっておりました。

そんな祖母が、ある日から
「同じお墓に入りたい!」
と騒ぐようになったのです。

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私の家には勿論、所有しているお墓があります。
大きくて立派な物ではありませんでしたが、家族親族は皆そこへ埋葬されることは分かっています。
祖母にも家族皆で
「大丈夫だよ、皆同じお墓に入れるよ。」
と説明するのですが、聞き分けが出来ず何度も「同じお墓に入りたい!」とダダをこねます。
まぁ認知症だから仕方がないのかな…くらいにしか、その時は思っていませんでした。

そんな祖母も亡くなってしまい、しっかりお葬式を執り行って無事に埋葬する事が出来ました。
「おばあちゃん、ちゃんと同じお墓に入れたよ。」
そう心で呟いて、手厚く供養を終えました。

ところがそれから程なくして、私の住む地域で災害が発生し、お墓が土砂に埋もれてしまいました。
復旧作業が行われたものの、お墓はどうする事も出来ず、仕方なしに別の場所へ新しいお墓を購入することになったのです。
祖母を含め、今までお墓に埋葬されていた遺骨も移動させたかったのですが、結局発見する事も出来ませんでした。

無事に新しいお墓が出来た時。
「おばあちゃん、こうして別々のお墓になるの知ってたのかもねぇ。」
母がボソッと呟きました。

まさかとは思いますが、祖母が「同じお墓に入りたい」と騒いでいたあの時、こうなる未来が見えていたとでもいうのでしょうか。
世の中には不思議な事ってあるんだな、と感じた体験でした。

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