恐怖の泉

実話系・怖い話「子供は何でも知っている」

現在、私は年上の夫、小学六年生と一年生になる息子と毎日楽しく暮らしています。
ただ幸せだと感じるようになったのはここ数年の話で、少し前までは地獄のような日々でした。

今から7年前、私は次男を生んですぐに離婚をしました。
当時の夫はいわゆるDV夫で、毎日毎日暴言を吐かれたり、仕事で嫌なことがあると私に八つ当たりをしてくるような人でした。
離婚しようと何度も何度も考えましたが、子供が小さく私自身の体が丈夫ではなかったので1人で育てる自信がなく、子供に申し訳ないとは思いながらずるずると結婚生活を続けていました。

唯一の救いは、子育てに協力的ではなかったものの、子供には当たったり手を挙げることがなかったことです。
パッとみた感じは温厚にみえるので、周りからの評判も良く低姿勢なので
「旦那さん、優しくて良いわね~」
と言われるのが、内心悔しくて腹立たしくてなりませんでした。

DV夫は気が進まないことがあると直ぐに仮病を使い「風邪を引いた」「しんどい」と言って部屋にこもるのですが、性欲だけは人並み以上にあり、毎晩求められたのです。
それは、私が風邪をひいて体調を崩そうがお構いなしでした。
拒絶するとすこぶる機嫌が悪くなるので、嫌で嫌で仕方ありませんでしたが、男の力にはかなうわけもなく受け入れざるを得ませんでした。

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そんなある日、妊娠していることが分かったのです。
それが次男なのですが、この妊娠をきっかけに離婚を決意しました。

その後のシングルマザー生活は大変でしたが、DV夫からの暴言暴力から解放された私は、自分にもこんなに力が残っていたんだ!とビックリするくらいに働くことができ、十分とは言えませんが1人で子供2人を養っていくギリギリの給料を稼ぐことができたのです。
そして縁にも恵まれ、友人からの紹介で今の夫と巡り合いました。

今の夫には子供もすぐになついてくれたので、迷わず再婚しました。
新たに夫になってくれた男性とは、もう子供は作らないという約束で結婚が成立し、子供2人と優しい夫の4人での生活は毎日が幸せでした。

そんなある日、私の体調が悪くなり不正出血と腹痛が起きました。
我慢できない程ではありませんでしたが、出血も気になるので翌日に婦人科へ行こうと思ってベットで横になっていると、次男が
「ママお腹大丈夫?」
と心配してくれました。

「ありがとう、大丈夫よ」
と話すと次男は
「多分、前のお姉ちゃんが痛かったからだね」
と、意味不明なことを言うのです。

「前のお姉ちゃんって誰?」
と聞くと、真顔で
「僕のお姉ちゃんだった人だよ」
と返答しました。

最初は子供特有の作り話かな?と思っていたのですが、あまりに真剣に言うので思わず
「お姉ちゃんはどうして痛かったの?」
と聞いてみました。
すると
「小さい包丁みたいなのでグサッってされたんだって。痛くて悲しかったんだってさ。」
と答えました。

実は私は、次男を出産する前にやむなく一度中絶をしていたのです。
性別は判別できない月齢でしたが、一度も話題に出したことがありませんでしたのでビックリしました。

翌日に婦人科へ行くと、不正出血は子宮筋腫が原因でした。
これ以上大きくなれば取った方が良いだろうということで、今後様子を見ていきましょうという話になりました。
自宅へ戻り、長男も心配していたので
「お腹、ちょっと良くないけど悪性の物じゃなかったし大丈夫だよ」
と報告すると、話の流れで長男が
「A君はお姉ちゃんがいるけど、僕は絶対に妹が欲しい。」
というのです。
「どうして?」
と聞くと、長男は
「たまに夢で妹と遊んだりするから」
と言いました。

長男も次男も、何か同じような存在を感じ取っている。
ひょっとして中絶した子供の事ではないかと感じた私は、それらの出来事をすべて夫に話し、改めて水子供養を家族で行いました。
すると不思議なことに、それ以来長男は妹と遊ぶ夢を見なくなり、次男も不思議な話をしなくなりました。

もしかすると、幸せになり毎日満たされていた私への「私も忘れないでね」という、産まれてくることが出来なかった子供からのメッセージだったのかもしれないと、今では思っています。

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