恐怖の泉

実話系・怖い話「大男と神社」

これは、私が幼い時に姉と体験した話です。

私のおじいちゃんはF県のT村に住んでいて、夏休みにはよく家族で旅行をしていました。
この出来事を大人になって思い出した私は、ふと親にあの時のことを話していました。

それはおじいちゃんを含めての夕食時でした。
お茶が無くなったため親と姉が台所へ取りに行き、私もついでにジュースを頼もうと台所の方を向きました。
しかし、姉は台所の真ん中付近で急須を片手にして立ち止まり動きません。
何をしているのだろうと思い、台所まで行ってみました。

そこで私が目にしたのはインパクトのある人でした。
なんと、姉の前には大きな体格の男の人がボーッと立っていたのです。
とても大きな体格の良い人で、まるでプロレスラーのようでした。
恰好も特徴的で今でも覚えていますが、髪は短く身なりは稲で出来たワラを腰に紐で巻き付けていました。紐には所々どんぐりが付いていました。

私はその大男の姿を見てビックリしてしまい、親の方へ逃げて
「台所に変な人がいる!」
と騒ぎ立てました。
が、台所まで親を連れいったもののそこに立っている大男は見えていないらしく「ふざけるんじない」と頭を叩かれました。

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私が台所に戻った時には、姉はビックリしていたのは最初だけで、意外に落ち着いていました。
そして大男に話しかけたりしていました。大男もボソボソと何か姉に言いました。

私には何を言っているのか解りませんでしたが、姉にはその言葉が通じたみたいで
「お茶の葉っぱが欲しいんだね」
と言うと、急須の出し殻を大男の手に渡しました。
大男は、ちょっとずつ出し殻を食べ初めました。
私はその時「お茶の葉っぱって食べれるんだ」と思いました。

私達はただ大男がお茶の葉っぱを食べているのを見ていました。
すると突然耳障りが襲いかかり、私も姉もだんだん頭が痛くなってきました。
ついには姉が倒れ、私も倒れました。

目を覚ました時には、不思議なことに私も姉も見たこともない古い神社にいました。
その神社はとても古く、2匹の狐の大きな石像が印象的でした。
さらに不思議だったのが、見た光景全てが白黒なのです。また音も風も全く有りません。

唖然としていると、遠くの方から誰か人の気配がしました。
私達が怯えて警戒していると、現れたのは先ほど台所いたお茶の葉っぱを食べる大男でした。
大男は私達を通り過ぎて、神社の扉を開け中に入っていきました。
ただ神社の中へ入っていく大男を見ていた私達でしたが、また耳鳴りと頭痛がきて次第に意識がなくなりました。
次に意識を取り戻した時、私達はおじいちゃんの家の外の玄関で横になっていました。

親は私達が台所から突然居なくなったので、近所を随分と探していたようです。
なのでその時、私も姉も随分叱られました。
しかし親は続けて、思い出したようにこう言うのです。

「あの時、あなた達の下にワラが敷かれていて、どんぐりの木の実と稲も一緒に置いてあった。実はお母さんの妹も、同じような体験をしたことがある。」

なんと母親の妹さんも、似たような体験をしたというのです。
その時は1週間程妹さんが突然行方不明となり、村中が大騒ぎになりました。
しかし急に帰って来て、家の玄関先にはどんぐりと稲が置いてあったというのです。
私達のように大男を見たり、神社にいたという話はないようで、母の妹さんには行方不明になっていた時の記憶はありません。

不思議なこともあるもんだ、と思っていると、親はさらにおじいちゃんの村について色々話してくれました。

そのT村は、よく小さい子供がいなくなる村だったそうです。
昔にはテレビでも話題なほど大きく取り上げられた誘拐事件があったそうで、夜は子供を外に出さない様に注意していたみたいです。

それに、その村は昔から不思議な出来事が起こっていたそうです。
夏になると庭の木に蛇が「うじゃうじゃ」と這い上がっていたり。
親が子供の頃は、大人には見えない座敷わらしが見えていたと語ってくれました。

夏になると肝試しでお墓へ行っていたと言います。
そこのお墓は今では珍しい土葬(今ではやっていません)で、私もおじいちゃんに連れられてお墓参りに出掛けていました。
肝試し中には、よく火の玉を見かけていたのだそうです。

そしてT村で絶対に行ってはダメな所も教えてくれました。
そこはおじいちゃんの村の山奥にある神社で、昔から神隠し伝説があるそうなのです。

確認したわけでなないのですが、何となくその神社に私と姉は行っていたのではないかと思っています。
大男と神社の関係は分かりませんが、神様か何かだったのではないでしょうか…。

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