恐怖の泉

人間の怖い話「呪術友達」

高校時代のある日、仲の良い友人から笑顔で
「呪いや魔術にハマった」
と告げられました。
なんでも、インターネットでいろいろと調べているのだとか。

オカルトを信じている上に、漫画の影響で呪術などに興味があるわたしでもさすがに引いてしまい
「でも、本当に効くのかわからないし、あんまり深入りしないほうが…」
と言いました。すると友人は
「魔術って言ってもピンきりで、白魔術は誰かを傷付けるためのものじゃなく自分を守るためのもの。効くかどうかもわかってる、ちゃんと効く。だってあの人階段から落ちたし」
と言い出しました。

さすがに絶句しました。完全に引きました。
魔術や呪術を信じているからこそ、そうやって人を平気で傷付けた友人に引きました。

スポンサーリンク

こんな話をすると友人は暗い人間だと思われそうですが、実際は違います。
気が強く同級生と口論することもよくありましたし、陰湿な教師に反抗することも度々あったほどです。
正直、呪いに頼らなくても君なら普通にやり返せるだろう、と突っ込みを入れたかったです。
顔も整っていて、何度か異性から告白されるほどでしたし。

引きはしましたが、仲の良い友人でしたしあまり気にしないことにして、そんな話にも付き合うようになりました。

それからは、やれ
「街ですれ違った名前も知らない人にちょっとむかついたから呪った、怪我してた」
だの
「呪術するとき結界の張り方をしくじったせいで術が返ってきて、体調を崩した」
だの、毎日のように聞いていました。
私は元来オカルト好きなので、そんな話を聞くのもいつしか楽しくなっていました。

そんなある日のこと。
その友人は、勝気な性格が災いして上級生から嫌われていました。嫌味を言われたりと、何かと攻撃されていたんです。
そんな上級生のうち一人の父親が、亡くなりました。

まさか…とは思いました。
ですが、さすがに人の命を奪うようなマネをする人ではないと信じていたので、否定されることを期待して訊ねました。
「あの先輩を呪ったのか」
と。

すると「呪った」という答えが返ってきたのです。

詳しく聞いてみると、実際にそこまで強い呪いにしたのは、友人がインターネットで知り合った『呪術友達』とのことでした。
なんでも、友人がその先輩を呪う際に失敗をしてしまい、自分に呪いが返りそうになっていた。そこでその呪術友達が強力な呪いを使い、友人を助けたということらしいのです。

呪いの詳しいメカニズムはわたしにはわかりません。
けれど、沈んだ様子でそう語る友人を見ると、信じるしかありませんでした。

それ以降、友人が呪術関係の話を語ることは、一度もありませんでした。

スポンサーリンク

TOP