恐怖の泉

実話系・怖い話「知らない番号からの電話」

私が初めて自分の携帯電話を持ったのは、中学2年生の時です。
それからずっと十数年程、携帯番号は変わらずにいたのですが、つい先日とても恐ろしい事があったので番号を変えてしまいました。

その出来事は夜中1時過ぎに起きました。
まだ眠くなかった私は布団に潜り込みながら、携帯をいじっていたんです。
すると突然電話帳に登録していない、知らない番号から電話がかかってきました。
普段なら登録していない番号、しかもこんな夜中の電話は怪しんで取る事はないのですが、つい手が滑り電話を取ってしまいました。

すぐに切ろうと操作しようとした瞬間、電話の向こうで誰かの声が聞こえました。
結構大きな声で話しているようで、携帯を耳に当てなくても聞こえます。

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「…に、…と…に、」

恐らく女性だと思いますが、甲高い声で何かを話しているようです。
もしかしたら間違い電話かもしれない、知人が番号を変えて何か訳があってかけてきたのかも、と思ってもっとよく聞こうと携帯を耳に近づけました。
すると不思議な事にブツンッと向こうから電話を切られたのでした。
何だったんだろうと思いましたが、その日はあまり気にせず眠りにつきました。

しかし翌日から、毎回同じ時間に同じあの番号から電話がかかってくるようになったんです。

2回目の着信時はすぐに取ってこちらから「もしもし、誰?」と問いかけました。
でも相手の声は大きいはずなのに言葉が不明瞭でどうしても何を話したいのか聞き取れなかったんです。
5~6回電話を取りましたがいつもこんな様子なので、悪戯電話だと思って次からは着信できないように着信拒否設定にしました。
すると驚いた事に別の番号から電話がかかってきたんです。

その状態が2週間程続いたでしょうか、何度着信拒否しても番号を変えてかけてくる電話に、次第にイライラしてきました。
だから電話がかかってきた時に、つい大声で「もう止めて!しつこい!」と叫んだのです。
そうしたら向こうから電話を切る音が聞こえました。

ああ、これでもうかかってこないといいなと思った次の瞬間、また電話がかかってきてしかもボタンを何も押していないのに電話が繋がったのです。

え!どういう事?と思考が停止していると勝手にスピーカーフォンに変わり、向こうの音が聞こえてきました。

「…に、…と…に、…って」

あの時のように何か話しています。

「い…に、わた…と…いっしょ…って…」

段々と話す言葉がはっきりと聞こえてきました。

「一緒に死ぬって言ったのに私と一緒に死ぬって言ったのに嘘つき嘘つきお前もこっちにこい連れてってやるお前の所に行くぞ逃がさな」

ガシャン!
怖くなった私は携帯を床に放り投げました。
当たり所が悪かったのか携帯の画面は割れて、でもそのおかげか通話は切れていたので携帯をそのままにして夜通し起きて、朝になったらすぐ携帯ショップへ行って機種変更と番号変更をしました。

あれ以来あの恐ろしい電話はかかってきません。
でももしも次にまたかかってきたら…私は今度こそあちらに連れて行かれるのかもしれません…。

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