恐怖の泉

人間の怖い話「ペットが○されました」

ある日、遠方に用事が出来てしまった私は1週間程家を空けなければなりませんでした。

私はペットの「でんぱち」と同居をしており、もうかなりの高齢です。
留守の間、でんぱちをどうしようか。
実家へ預けようにも、親が動物嫌いの為、断念。
いっその事、外出先に連れて行こうかとも考えましたが、現実的ではありません。
今にして思えば外出を諦めれば済んだ話だったのですが、当時の私がこの後に待ち受ける出来事を知る由もありません。

しばらく悩んでいると、知り合いのAから
「だったらその間私が面倒みるから、行ってきなよ!」
と声をかけてもらえました。

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Aは以前からペットに興味があり、何度かでんぱちとも会った事があります。
私とAはそこまで仲が良い関係ではありませんでしたが(知り合いの知り合いです)、動物好きの人であれば大丈夫と思って、お願いしてしまったのです。

外出中はでんぱちの事が気がかりではありましたが、何とか無事に用事が済みました。
帰り足にAの所へ寄ってでんぱちを引き取り、そのまま帰宅しようとしたのですが、異変が起きました。

Aの家で、でんぱちはぐったりとしていて、明らかに体調が悪い状態でした。
Aに「一体どうしたの?」と尋ねるも、何か昨日辺りから具合悪いみたいなんだよね、とまるで他人事のように言います。
具合悪いなら連絡するか、病院へ連れて行ってよ!と思いましたが、今は言い争うよりもでんぱちです。
急いで病院へ連れて行きましたが、体調は回復せず、でんぱちは翌日に息を引き取りました。

でんぱちの死因は高齢だったので老衰だと言われましたが、私は腑に落ちませんでした。
なぜなら他の友人から、Aは遊び歩いていて、家にはあまり居なかったという情報を聞いていたからです。
Aはでんぱちにちゃんと食事を与えていたし、問題無かったと主張しますが、果たしてそうでしょうか。
季節は夏です。Aは外出する際にエアコンを切って出ており、室内はかなり高温だったのではと推測出来ます。
でんぱちは高齢でしたから、暑さにやられたのではないかと、私は思うのです。

私はAを訴えようと思いました。
ですがでんぱちが高齢であった事や、Aが食べ物をちゃんと与えていて世話をしていない訳では無い事から、Aの過失を問うのは難しいと判断し、諦めました。

落ち込む私を見て友人達は励ましてくれました。
勿論Aも責任を感じてか、私を励ましてくれたのですが、こんな事も言っていました。
「そんなに落ち込まないで。私が新しいペット買ってあげるから。お金は私が出すよ!」

でんぱちは私の家族であり、代わりなど居ないのです。
Aは動物好きなのかもしれませんが、実際に自分で飼っている訳では無いので、この感覚は一生分からないのだと思います。
死んでしまったでんぱちはもうこの世にはおらず、いくらお金を出しても帰ってきません。

長年付き添ったでんぱちと、まさかこのような最後を迎えるとは。
別れが辛すぎるので、もうペットを飼う気にはなりません。

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