恐怖の泉

上級者向け怖い話「通報したのは、誰?」

これは警察の友人に聞いた話だ。

ほとんどの人は事件事故があった場合、110番をすると思う。
例えば自殺者を見つけた時なんかも、真っ先に110番すると思う。
実際に、連絡が無いのを心配した家族とか、たまたま通りかかった人の通報によって発見される事が多いのだそうだ。

でも、全体の通報の約1割ぐらいは、名前も名乗らず公衆電話等から
「○○のマンションで首を吊って死んでいる人がいる」
とか言ってくるらしい。

【原作】通報したのは、誰?【朗読版】
「上級者向け怖い話 短編21連発『 - 疑- 』」のサムネイル画像
※この話は原作者から正式な許可を頂いて掲載しております。

通報を受けて実際に見に行くと、ほとんどが死んでいる。
でもそれは鍵のかかった室内だったりするそうだ。
ちょっと考えると他殺だったんじゃないかって勘ぐるけど、それは違うらしい。
ベテランの警察官が言うには、実はその通報をしているのは他ならぬ自殺者本人なのだそうだ。

通報の音声は全て録音されていて、家族に確認してもらっている。
見つからないのは怖いけど極力人目につきたくないとか、本当は止めて欲しいとか、体が腐る前に早く見つけて欲しいとか、亡くなった事を家族に伝えて欲しいとか。そんな感じて自ら通報するらしい。
それでもドアの鍵が閉まっているのは、死への強い願望なのだろう。

それを聞いた友人が
「人間、1人で死ぬのはやっぱり怖いんですかねぇ。」
そう何気なく問いかけると、先輩刑事がぽつりと気になる事を呟いた。

「まぁごく稀に、死亡時刻より大分後になって本人から自殺の連絡が来る事もあるけどな。」

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