実話系・怖い話「類鼻疽」
類鼻疽(るいびそ)は、類鼻疽菌という細菌によって引き起こされる人獣共通感染症です。メリオイドーシスとも呼ばれます。
類鼻疽は元々、東南アジアの一部地域にしか発生していない病気でした。それが次第に拡大して、現在ではアフリカや中南米の熱帯地域でも感染者が報告されており、広がりが懸念されています。
日本国内での感染は今のところ確認されていませんが、海外渡航者が感染したケースがあります。
高い致死率や感染の特徴から、類鼻疽菌は生物兵器としての利用が懸念されている細菌であり、取扱いにはBSL-3以上のバイオセーフティレベルを持つ施設が指定されています。
感染経路
人獣共通感染症の為、人間以外にも齧歯類、羊、ヤギ、馬、豚、牛、犬、猿、猫といった動物に感染します。
動物から人へは感染しないとされていますが、人から人へは稀に体液を通じて感染しますので注意が必要です。
主な感染経路は類鼻疽菌に汚染された土壌や水です。
接触して傷口からの感染だけでなく、舞い上がった土埃を吸ったり、殺菌処理しない水を口にする等、感染は容易なので意識していないと防ぐ事は難しいかもしれません。
メリオイドーシス患者は特にオーストラリア北部とタイに多いので、旅行される場合は考慮して下さい。
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症状
類鼻疽は感染したとしても無症状である場合が多いとされていますが、発病までには短くとも1日、長い場合には数十年と差が大きいです。発病までの平均日数はおよそ2~20日。
過去にはベトナム戦争へ従軍した兵士が、帰国後長い期間を経た後に発病したケースが多発し、「ベトナムの時限爆弾」と呼ばれて問題になった事があります。
発病者の約50%は肺炎や敗血症になるという統計があります。
症状は、発熱、咳、リンパの腫れ、胸の痛み、寒気、肺炎、痰、呼吸困難など風邪と区別がつきにくいです。傷口や皮膚が化膿する事もあります。敗血症になると加えて多臓器に腫瘍や炎症が起き、ショック状態となります。
症状は急性か慢性か、また感染した部位は局所的か全体的か。
上記したように発病までのタイミングもバラバラで、類鼻疽は判断の難しい感染症となっています。
メリオイドーシスは糖尿病や内臓疾患を患っている方だと、治療の有無に関わらず重症率・死亡率が跳ね上がります。
最悪の場合、類鼻疽を発病して48時間以内の致死率は90%にまで高まります。
治療・予防方法
治療には抗菌薬の長期投与が有効です。
類鼻疽は治りにくく、敗血症になると適切に治療したとしても20%~50%の致死率、しっかり治療をしたとしても10%以上の患者が再発をする厄介な感染症となります。
また危険性が高い感染症なのに知名度が低い事も問題となっています。
効果が認められたワクチンはありません。
予防には、水は煮沸や滅菌処理した物を使用する、手袋や衣類でなるべく肌の露出を減らす、大雨や砂埃は回避する、高性能のマスクを着用するといった方法が有効となります。
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