恐怖の泉

実話系・怖い話「謎の追跡者」

これは僕が12歳の時に体験したエピソードです。

当時の僕はとにかく友達と外で遊ぶのが大好きで、毎日自転車で遠くまでサイクリングをして、良い公園を見つけてはそこで遊ぶということを繰り返していました。
その日は天気がかなり良かったので、いつもより気合いをいれて遠くまで行ってみようという話になりました。

友達のM君とK君を引き連れて自転車をこぎまくり、だいたい2時間くらいは経過していたでしょうか。
全く見覚えの無い土地に入ってしまい、迷いそうだったのでここで止まろうという話になりました。

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自転車を降りて、公園でもないか3人で探します。
すると公園ではないけれどちょっと寂れた空き地のような場所があったので、そこへ座って僕達はカードゲームをやり始めました。
空き地の奥には森が続いていたのですが、土地勘が無いので入る気にはなれません。

しばらく経つと、森の方から何か音が聞こえてきました。
「何か向こうから聞こえてこない?」
2人に聞いてみると、どうやら2人にも同じ音が聞こえているみたいでした。
しばらく耳をすませてみると、その音が次第に近づいてきます。

「シャンシャンシャンシャン…」

どうやら音の正体は鈴のようです。
音の正体が判明したのは良いけれど、こっちへ向かって来るのなら誰かに怒られるのかもしれない。
そこで僕達が立ち去る準備をしていると、森の茂みをガサガサっと掻き分けて、ボロボロの服を着た人が出てきました。

髪の毛はずっと洗っていないのが一目で分かるくらい汚く、長くて顔が見えません。
ボロボロになった衣服には錆びた鈴が無数に付いており、明らかに異質な存在でした。
僕はこの時、人間が恐怖を感じると体がフリーズしてしまうことを初めて体感させられました。

次の瞬間、M君が
「逃げるぞ!!」
と叫んでくれたおかげで体が動き、急いで自転車へと向かいます。
鈴の人物は僕達へ用があるらしく、どんどん近づいてきており、意外にも足が早くて本当に怖かったです。
全力で自転車を漕いでる間も、鈴の音が後ろの方でずっと「シャンシャン」鳴っているので、余計に恐怖心を煽られます。

鈴の音から必死に逃げた上に知らない土地ですから、もはや帰り道はどこか分からない状態となっていました。
それでも音が聞こえなくなってホッとした僕達は
「今のヤバかったね!」「あの人何なの?!」
と会話をしつつ、道の看板や人へ尋ねるなどして、無事自宅に帰る事が出来ました。

その後、僕は別の友達を誘ってまたサイクリングに出かけました。
あまり遠くへ行くのはちょっと気が引けていたので、地元の一番遠い公園で遊んでいると
「シャンシャンシャンシャン…」
またあの鈴の音が聞こえてきました。
僕は咄嗟に「自転車に乗って逃げて!!」と呼びかけました。
あの鈴の人物の姿は見えていなかったのですが、きっと追いかけてきたのだろうと思ったのです。

次の日に学校でこの話をすると、友達のM君とK君も全く別の場所で同じく鈴の音を聞いたのだそうです。
それからは何もありませんが、あれは一体何だったのでしょうか…。

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