恐怖の泉

後味の良い怖い話「右足の激痛」

私が高校生だった時。
夏休みに私を含め仲の良かった女友達3人で、ちょっと遠いけど有名な海へ遊びに行こうという話になりました。

台風が来るという情報もありましたが、まだ随分遠い所で発生していたので問題ないだろうと、海に出かける日程を決めました。
私達は事前に水着や服を買い出しに行ったりして、それはもうワクワクしながら海に行く日を心待ちにしていたんです。
素敵な出会いを求めて気合い充分だったという訳です(笑)
そしていよいよ当日になり、朝起きようとした時でした。私は右足の異変に気づきました。

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右足が痛い。尋常じゃなく痛い。
ズキズキともジンジンとも違う、足がつりそうとも違うような痛み。
まるで何かに掴まれているというのが1番しっくりくるような、初めての感覚と痛みでした。立つこともできないのです。

自慢じゃないですが、私は痛みには強くて骨折でも泣いた事すらありません。
泣くどころか骨折したまま遊びに行ってしまうような、ちょっと頭のおかしいところがあるので、痛みの耐性は相当強いと思います。
その私が痛みで泣いてしまう。自分でもビックリしました。それほど痛かったんです。

こんな状態では海なんてとても行けません。
しばらく耐えながら様子を見ましたが、痛みは酷くなる一方で対処も出来ず、仕方なく友達へ連絡して海の予定は中止してもらいました。
友達には散々文句を言われましたが…(笑)

その後病院へ行ったのですが、待ち時間がとても長かったんです。
予約してないから仕方ないと思って待っていたのですが、そのうち痛みが無くなり、私が診察を受ける頃にはすっかり良くなっていました。
足は治ったものの、今からまた友達を誘って海へ行くには時間的に難しかったので諦めて帰宅しました。

家に帰ってテレビでニュースを見ると、私達が行こうとしていた海の話をしていました。
どうやら予報が外れて、台風の影響で海が大時化だったらしく、海水浴に来ていた男性2人が行方不明になっているとか…。
私のせいで遊べず友人には申し訳ないと思っていましたが、ひょっとして行かなくて正解だったのかもと思いました。

そしてその日の夜、私が寝ていた時でした。
ふと目を覚ますと、私の足元に老人が座っていたんです。
突然の出来事でビックリしたのですが、良く見るとそれは母方のおじいちゃんでした。
おじいちゃんは私が生まれる前に病気で亡くなっているので、直接会った事はありませんでしたが、写真を見ていたので分かりました。
おじいちゃんは真剣な顔で、日中に痛くなった私の右足へずっと手を当てていたんです。

気が付けば朝になっていました。
私がおじいちゃんを見たのは夢か現実か分かりませんが、あの足の痛みはおじいちゃんが海へ行くと危険だと警告していたのだと思いました。
でもあまりにも痛くしたから、気になってアフターケアもしてくれたのかな?なんて、今では思っています。

私の不思議な体験はこれが唯一ですが、墓参りは毎年欠かさず行って「ありがとうございました」と心で伝えるようにしています。

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