恐怖の泉

実話系・怖い話「ビデオの怪奇現象」

これは私が高校生の時の話です。

当時一番仲の良い友人A(仮名)から
「自分には霊感がある。」
と打ち明けられた事がありました。

私自身もオカルト話が嫌いではありませんでしたが、Aはオーバーに話す癖があるので、あまり信用していませんでした。
ダイエットの為、Aと夜にランニングをした時も、Aは
「あそこにいるよ。」「あのガードミラーの横にもいる。」
と教えてくれるのですが、私には当然何も見えません。
きっとAも、私が彼女の話を信じていないのだと感じていたかもしれません。
適当に相槌を打つ私でしたが、それでもAは頻繁に幽霊の話をしてくるのでした。

スポンサーリンク

ある日、私の家族が外出で留守の為、Aとホラー映画を見よう!という事になりました。
当時は超有名なホラー映画が流行っていたのですが、私達はそれよりも怖いと評判の映画を借りることに。当時はまだVHSビデオでした。
その映画は悲鳴を上げる怖さは無いのですが、じわじわとリアルな恐怖を感じて、評判通りの作品だった事は覚えています。

震えながら真剣に見続け、いよいよ終盤という時でした。
突然、映画の映像とリンクするように部屋の電気が消えたのです。
停電かと思いましたが、ビデオは変化無く動いています。
そして映像がザザッと乱れたかと思うと、家鳴りと共に家具がガタガタと揺れ始めました。
床は動いていないので、地震とは違う異常です。

思わずAと私は
「ヤダ!ヤダ!怖い!!」
と悲鳴をあげます。
しばらくすると揺れは治まり、同時にビデオの映像がプツリと消えました。
そして次の瞬間、勝手に巻き戻しされてしまったのです。

「何?今の…。」

私とAはしばらく呆然としていました。
あまりの恐怖でもう一度続きを見る気にもなれず、その日は電気を付けたままAと一緒に寝ました。

翌日、ビデオはそのままレンタルビデオ店へ返却しました。
ひょっとしてビデオが壊れていて、その事を店員から指摘されるかもと思いましたが、特に何も言われません。

Aとはその後も友人関係を続けていましたが、私の就職やAの引越しが重なり、だんだんと離れていきました。
それでもたまに電話をしていたのですが、ある日から突然携帯が繋がらなくなり、それからずっと音信不通です。

ちなみにですが、家のビデオデッキがおかしくなったのはこの1回だけです。
映画のラスト部分は気になりますが、それよりも恐怖がトラウマになって続きを見る気になれません。

今思えば、あの怪奇現象はビデオではなく、映画を見て恐怖したAの力だったのではないでしょうか。
だとしたら、Aの霊感は本当だったということなのでしょうか…。

スポンサーリンク

TOP