恐怖の泉

人間の怖い話「連れション」

「ねぇ一緒にトイレ行かない?」
この言葉が、私は苦手でした。

苦手ながらもまだ幼かった頃は、変に断って関係が気まずくなるのも面倒なので付き合っていました。
ですが10代後半の年齢になってまで一緒にトイレへ行く、いわゆる「連れション」なんて…。
トイレぐらい1人でも行けるわ!そう思っていたのです。

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そんなある日、学校から帰る途中の駅でトイレへ行きたくなりました。
いつも複数の友人と帰宅していたので、その時もやはり連れションの流れになっていきます。
私が「トイレ行く」と言うと、友人は次々と「じゃ私も」と連なってくるのです。

「え?皆もトイレなの?」
思わず私が声を上げると
「いや別に出ないけど…誰か行くならなんとなく行きたいじゃん?」
その言葉に呆れた私は
「私だけ行くから!ちょっと待ってて!」
と制して、1人でトイレへ向かいました。

別に仲が悪い訳ではないし、嫌いでもないけど…ちょっと感覚が違うんだよな~なんて思いながら入ってくと、丁度個室の扉が開いて人が出てきました。

ところが、出てきたのは男性でした。

女子トイレから男性が出てきた事で、私の緊張は一気に高まります。
男性はやけに大きくギラついた目つきで私をジッと見つめ、近づいてきました。
そして私の腕と掴むと、グイっと個室の中へ引きずり込もうとするではありませんか。

「助けて!」
叫んで男性の手を振り払うと、駆けつけた友人達が男性を包囲。
「ここで何してんだ!」「この変態!」
散々な罵倒にも男性は顔色一つ変えず、トイレを出ようと試みます。
しかし逃すまいとする私達に阻まれ、そのうち騒ぎを聞いて駆け付けた警察に御用となりました。

この1件以来、私の連れションへの意識が変わりました。
「トイレは1人で行くと危ないんだ。だから皆で行くのだな。」
そう思うようになったのです。

調べてみると、実際に1人でトイレへ行った事で凄惨な事件に巻き込まれた過去があったようです。
文京区小2女児殺害事件

ニュースでも度々、私が遭遇したのと似たような犯罪があちこちで聞かれます。
私は未遂で済みましたが、被害を受けていたらと思うとゾッとせずにはいられません。
もし被害者が子供だったら、ひょっとしたら言えない場合もあったりして、明るみになっていないものも多くあるのではないか。つい勘ぐってしまいます。

ふとした時に、この話を彼氏にしてみた事がありました。
すると
「別に女性だけの話じゃないよ。男性が男性に襲われたって話もあるし。」
と返されました。

男女関係無く、無防備になるトイレは複数人で行くのが正解なのかもしれません。
万が一、1人でトイレへ向かう際は十分にご注意下さい。

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