実話系・怖い話「出ると噂の共同住宅」
私の実家は、築30年以上の共同住宅です。
母子家庭ではありましたが、私と弟は既に結婚して実家を離れ、今は母が1人で住んでいます。
私が2人目の子を出産するため、当時3歳だった娘を連れて里帰りした時の事でした。
母は仕事に出かけたので、2人で留守番をしていると娘が言います。
「ママ、おじさんがいるよ。」
えっ?と思って家の中を探しましたが…私達以外の人は誰も居ません。
「おじさんがいるの?ごめん、ママには見えない。」
と言うと、娘は
「そこにいるよ。2人だよ。」
と普通に答え、背筋がゾッとしました。
幸いにも娘は人見知りだったため、そのおじさん達と接触する気はないようでした。
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母が帰ってきてその事を伝えると、怖がりの母は
「やだぁ!この前も怖いことがあったのに!」
と身をすくめます。
母はつい先日、同じ共同住宅に住む知り合いの家を訪ねたのですが、肝心の相手が不在で娘さんが対応してくれたのだそうです。
その後先方から電話があり、改めて要件を話していると、その人が変な事を言ってきました。
「さっきうちに来てくれた時、一緒に来た人って誰だったの?娘が、知らない人と2人で来た、って言ってたけど。」
母は間違いなく1人で訪ねて、連れなどいません。
「え?私1人で行ったのよ?」
「あれ?娘が横にもう1人知らない人がいたって言ってたけど?」
母はもうそれきり怖くて、深く詮索しないようにしていたそうです。
実はその共同住宅は、他にも「出る」と言う住人が複数人いる所なのです。
見えない人にはわからないのですが、そういった声が多く聞こえると気味が悪く感じてしまいます。
この話をある時、弟にもしてみました。
すると弟まで
「実は俺もあるんだよ…。」
と話し始めるのです。
まだ弟が実家に住んでいた頃、真夜中まで起きていた時の事です。
私達の部屋は3階にあり、弟の部屋は窓の真下が棟の入り口になっていました。
古い建物ですし、周りの音はいろいろと聞こえてくるのですが、真夜中となると静かなものです。
弟が言うには、少し遠くから自転車が走る音が聞こえてきたのだそうです。
生活サイクルは人それぞれですから、それは夜まで仕事をしている人もいれば、遅くまで遊んで帰ってくる若い人もいます。
その音自体には、特に違和感はなかったのです。
自転車はどうやら古い物のようで、キィキィと音を立てながら走ります。
他に雑音がありませんから尚更良く聞こえて、共同住宅の門からその自転車が入り、何棟かある建物の間を通り、弟の部屋の窓下の入り口付近まで来た事が分かったと弟は振り返ります。
(誰か帰ったのかな?)
弟は軽い気持ちでカーテンをめくって窓から真下を見たのですが…そこに自転車の姿がありません。
(あれ?おかしいな。確かここら辺まで来たと思ったのに。)
辺りも見回してみましたが、自転車などどこにも見つかりません。
すると次の瞬間、弟のすぐ後ろで
キィ…
さっきまで聞いていた自転車の音が、ハッキリと聞こえたそうです。
「やだ!それでどうしたの?」
「いやぁ俺も、もう全身がゾゾゾーってしてさ。怖くて振り返る事も出来なくて。敷いてあった布団に後ろ向きのまま、頭から突入して、朝までそのまま。」
その場所で悪い出来事があったとは特に聞いた事がありませんが、そういった曰くが無くとも、日常と非日常が溶け込んでいる場所なのかもしれません。
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