実話系・怖い話「耳塚」
私の実家の裏山には「耳塚」というものがあった。
それが一体何物で、どうしてそこにあるのかなど由来は一切分からないのだけれど、年に1度は近くの神社から神主さんが来てお祓いをしていた。
困ったことや無くし物をした時、耳塚へお願いすると誰かの口を借りて知らせてくれる、という言い伝えがあった。
実際、近所の人がたまに立ち寄っているのを見た事がある。
スポンサーリンク
私も最近、お世話になった。
車のダッシュボードに会社の鍵を置いていたはずが、紛失してしまった。
気づいてすぐ戻ったものの、既に鍵は無し。
車には鍵をかけず、ほんの1分たらずしか離れていないその瞬間に消えた。
どこを探しても見つからず、しかもマスターキーだったため会社からはしこたま怒られ、やむなく盗難届を出した。
鍵が見つからない場合は、会社のドアごと交換になってしまう。
私はあっと思って、耳塚へお参りをしてみた。
こんな時の耳塚である。神様でも仏様でもすがりたくなった。
別に信じていた訳ではないけれど、私の責任で弁償となったらかなりの痛手になる。
あの頑丈そうなドアをまるごと替えるなら、幾らになるのか…。
考えただけでも恐ろしい。
数日後、社長室へ呼ばれた。
「大変だったね。」
部屋に入ると、社長は怒っている風でもなく、椅子を勧められた。
「何と説明したらよいのやら。途方に暮れている。鍵が出てきたんだ。つまり私のせいって事にはなるんだが…。」
社長は声を潜めながら話を続けた。
「夢に狐が出てきて、何やら話をしていたんだ。何を話しているのか、聴き取れなくてね。何日も同じ夢をみて、ついに話し声が聞こえたんだ。
『鍵は引き出しだと皆が噂している』
そう言っていた。あの狐は恐らく、社の屋上にある祠の狐だ。先代が祀っていたんだ。」
「はぁ…狐ですか。」
話はそれだけだったが、とりあえず無事に鍵は発見された。
耳塚には何が祀られているのか分からない。
管轄は隣町の神社という事になっている。
母も無くし物をした時、耳塚へお願いをした。
するとテレビで、無くし物がこんな所から、という話題を放送していた。
まさかと思って家でその場所を探してみると、見つかったのだ。
困った時には有益な耳塚だが、私はどこか薄気味悪い感じがして、二度と使わないと心に決めている。
スポンサーリンク
実話系怖い話インターネット都市伝説良い話人間の怖い話子供向け怖い話
短編の怖い話長編の怖い話超怖い話山の怖い話川海の怖い話病院の怖い話学校の怖い話人形の怖い話日常怖い話子供の怖い話夢の怖い話電話の怖い話シリーズもの怖い話曰く付きの怖い話廃墟の怖い話恋愛の怖い話家の怖い話金縛りの怖い話心霊スポットの怖い話アパート・マンションの怖い話病の怖い話裏切りの怖い話憑りつかれた怖い話ダジャレ系の怖い話こっくりさんの怖い話不思議な怖い話車・バイクの怖い話上級者向け怖い話超能力の怖い話店・施設の怖い話子供の頃の怖い話旅行の怖い話怖い昔話戦争の怖い話泣ける怖い話災害の怖い話犯罪の怖い話祟りの怖い話写真の怖い話動物の怖い話葬式の怖い話音の怖い話異世界の怖い話トイレの怖い話