恐怖の泉

人間の怖い話「地域のルール」

10年ほど前に、私は閑静な住宅街へ引越ししました。
和やかな雰囲気も感じられる場所でしたので、ここなら快適に暮らせると期待に胸を躍らせていました。
近隣住民の方も「困ったことがあったら何でもおっしゃってくださいね」と親切に言って下さり、新婚の私達としてはとても心強かったものです。

ところが、5年ぐらい経つと相方の浮気が発覚してあえなく離婚。
子供はいなかったのですが、家のローンがありましたので、私は仕方なく一人で暮らすようになりました。

スポンサーリンク

独り身となってから、自治会のイベントへ参加する事も無くなりました。
私自身が忙しいというのもありましたが、1人で活動するのは気が引けます。
妻がいた時は積極的に地域の行事へ参加をし、特にお祭りでは色々とやっていたのですが…そんな気も失せました。
そこで自治会を脱会したのですが、その頃から近隣住民の雰囲気が変わったのです。

自治会を抜けてから、まず真向かいの住民が私を無視するようになりました。
顔を合わせたら挨拶や会釈など当然だったのですが、こちらから声をかけても一切応えてくれません。
過去にゴミ出しのことで相談に乗ってくれた親切な方だっただけに、ショックでした。

それだけではありません。
私の家の周囲に居る住民、全てが同じような態度なのです。
これは明らかに、私が標的となっているんだなと感じました。

ですが私はそんな対応も気にせず、放置していました。
くだらない事をする人間は、所詮器が狭いということです。むしろこっちが関わりたくありません。
ところがこのケースではそれがまずかったのです。

無視だけに収まらず、嫌がらせが始まりました。
最初は自宅にゴミが投げられた程度でした。

実際に私が見た訳ではないので、近隣住民の仕業かは特定できません。
ひょっとしたらカラスや野良猫がやったのかもと思い、しばらく静観してました。
すると今度は、ゴミステーションに自分が出したゴミ袋が敷地へ戻されるという事件が起きました。

朝、仕事へ行く前に出した私のゴミが帰宅すると玄関に置いてあります。
1回だけならまだしも、立て続けなので嫌がらせである事は明白です。
とりあえず、状況を抑えるべく監視カメラを自宅に付けました。
ところがカメラを設置した途端に嫌がらせがパッタリと止み、証拠を掴む事ができません。

実害さえ無ければ、とても住みやすい場所です。
近隣住民との関わりも、どうせ普段から無い訳ですから気にしなければ何てこともありません。
やっと平和な日々が送れる…そう思いました。

しかし今度は、無言電話がかかってくるようになったのです。
非通知なので誰からか分からず、固定電話の回線を外しても携帯へかかってきます。
きっと地域の人達がやっているのだろうな…とは思ったのですが、そんな状態が続いてメンタルが疲れてしまった私は、引越しを決意しました。

引越し当日。
最後だと思い、嫌がらせをしてきた連中に今までの怒りをぶつけました。
すると
「何なんだお前は!」
と逆に暴言を浴びせられ
「自治会は入会したら脱会するな!地域のルールを破る輩はここにはいらない。引越しをするみたいだが、これでせいせいする!」
と言われました。

引越しする際は、その地域がどういった場所なのか入念に下調べをしなければいけないな、と身を持って体験した出来事でした。

スポンサーリンク

TOP