恐怖の泉

実話系・怖い話「動かない家族」

これは私が家族で、海辺にある公園へレジャーに行った時の話です。

そこは島のような形が特徴の公園で、敷地内のほとんどは森でしたが、海辺にはいくつか広場がありました。
時刻も正午をまわったころ、お腹が空いた私達家族は広場でお弁当を食べることにしました。

私達が辿り着いた広場には錆びたベンチがぽつんとあるだけで、人気もありません。
木々の影になっているためか、暗く物憂げな雰囲気すら漂っています。

ちょっと寂しいかな…と思って場所を変えようとしましたが、辺りを見渡してみると私達のような4人家族を発見したため、そこに決めて腰を据えました。

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しかし程なくして、異変に気づきます。
その広場にいた4人家族は並んで立ったまま、海の方を眺めていたのですが…
全く微動だにしません。

後姿から推察するに、父親と母親はいずれも中年くらいでしょうか。
娘さんは高校生ぐらい、男の子もいて中学生くらい。
服装も普通で、どこにでもいそうな家族です。

ただおかしいのは、横に等間隔で並んだまま海を向き、全く動きません。

人ではなくて人形か?とも思いましたが、流石に人形と生身の人間の区別はつきます。
後姿は確かに人間でした。
仮に人形だとしても、そこへそんな物を設置する意味がわかりません。

まさか幽霊?とも思いましたが、私を含め家族全員が見ています。
家族も皆、その4人を見ては「何をしているんだろね」と首を捻っていました。

声をかけたり、前から見てみようかとも思いましたが、あまりに異様な雰囲気で行動する勇気が出ません。
もしこの家族が振り向いて顔を見てしまったら、私達は無事ではすまないのではないか?
そんな妄想が脳裏を過ぎります。
怖くなった私達家族は、昼食を急いで食べた後は帰る事にしました。

公園から出る際、その広場をもう一度見てみましたが…
やはり同じ位置で同じ方向を見ながら、4人は立ったまま動きませんでした。
そして遠くから眺めて気づいたのですが、その広場以外は人で賑わっていたのも不思議です。

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