実話系・怖い話「大勢の足音」
ある年のお盆、久しぶりに父の実家で親族みんなが揃いました。
ここまで集まる事は珍しく、大人数で楽しくBBQをして楽しんでいました。
我が家は夕食が終わったら花火をするというのが恒例でしたが、この日の大人達は飲み過ぎてべろんべろんです。
「花火は明日にしよう。」
と、解散になってしまいました。
ですがお酒が飲めない私や兄妹、従弟達は、ただお腹いっぱい食べただけでまだまだ遊び足りません。
そこで真夜中に近くにあったお墓まで行って、花火をしようとなったのです。
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手持ち花火はまぁ、肝試しのついでみたいなものですね。
「おばあちゃん達がお墓に座ってたらどうする?今帰ってきてるよね?」
歩いて2分くらいのすぐ近場でしたが、冒険でもしているような気分になります。
無事到着し、早速手持ち花火を始めました。
今考えると夜中にお墓で遊ぶなんて、近所迷惑だし罰が当たりそうなものです。
でも田舎ですから、土地が凄く広いので悪い事をしている実感があまりありませんでした。
花火も残り少なくなった頃、妹が突然
「しっ!」
と人差し指を立て、静かにするように言いました。
「今何か聞こえなかった?え、気のせい?」
場所がアレなので、皆の間に緊張が走ります。
ですがしばらく耳を澄ませても何か起こる気配も無く、家もすぐそこだという安心感から、また花火を再開しました。
そして花火が全部無くなり、燃えかすを集めたバケツを持って帰ろうとした時でした。
ジャリ…
近くで砂利を踏むような音が聞こえました。
お墓には私達しかいません。
なのに私達が動いていない時に、足音が聞こえた。
姿は見えないけど、誰かが居る…。
全員が一斉に走り出し、一目散にお墓から出ようとします。
ところが
「待って!足が動かん!」
と1人取り残されました。
パニックになりつつも、動けない親戚の腕を引っ張りながら走りました。
すると後ろから
ドドドドド…!
誰もいないのに大勢の足音が追いかけてきます。
地面の振動もリアルに伝わってきて、一瞬地震かとも思いましたが、あれは違ったと思います。
夢中で、家まで走り続けました。
家へ辿り着くなり大人達を起こして、出来事を全て話しました。
真夜中、勝手に子供だけで遊んでいた事がバレた私達は、こっ酷く怒られました。
翌日、お経を読みに来てくれたお坊さんにも話をして、お祓いをして貰いました。
お坊さんからは
「お盆とお祭りは訳が違う。ちゃんとご先祖様に気持ちを伝えなさい。そしてちゃんと周りの事を考えるように。」
と諭されました。
子供達だけで遊ぶ事は、時に危険な場合があります。
自分達の身に何かがあってからでは取り返しがつきませんから、十分にお気をつけ下さい。
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