恐怖の泉

後味の良い怖い話「怖がるおじさん」

これは数年前にあった話です。

私がごく稀に行くスーパーがあります。
いつもは行かないのですが、欲しいものが凄く安くなっている事があり、その日は向かいました。
少し遠いですが、まぁたまに行けば散歩にもなるかなという感じです。

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目的のスーパーに到着すると、店の入り口付近におじさんが座っていました。
片手にはお酒の類を持っていたと思います。
ガラが悪くて嫌だなと思いつつも、無視して通り過ぎれば大丈夫だろうと思って、店の中に入ろうとした時でした。

「あぁ!」

突然、おじさんが大きな声を出しました。
「え?何?」とビックリして反射的におじさんの方を向くと、そのおじさんは怯えたような顔をして去っていきました。

何が起きたのか分からず立ちつくしていると、近くにいたおばあさんが私に近づき、話しかけてきました。

「あなた、凄いわね!」

意味が分からなかったので色々聞いてみたのですが、どうやらそのおじさんは、いつもお店の前にいるというのです。
そして人が店に入ろうとすると、大きな声で脅かしたり、睨んだりして困っていたと言います。
卑怯なのは、男性にはそれをやらない点です。
自分よりも弱そうな感じの、女性や年寄りや子供にしかやらないそうです。

ですが、私も女性で普通に歩いていただけです。
おばあさんは「きっとあなたが怖かったのよ」と言っていました。
ただ歩いているだけで怖いだなんて、女性としてどうなのだろう…と思いつつ、おばあさんには感謝されたので複雑な気持ちでした。

そしてス―パーで帰り際、例のおじさんが向こうから歩いてきました。
また何か言われたらどうしようと思ったのですが、おじさんは私に向かって一直線に歩いてきます。
そして
「お前なんて怖くないんだからな!」
と捨てセリフを吐いて、どこかへ行ってしまいました。

一体何なの…と思いつつ、何故かおじさんは私に向かってはいましたが、空中に向かって叫んでいたような気がしたのです…。

この謎がある日、解決?しました。
取引先の方と打ち合わせをし、無事話が終わったので帰ろうとした時でした。

「ところであなた、凄いもの持ってますね。」

唐突にそう言われました。
何の事か分からないので説明してもらった所、その方は霊が見える体質だそうで、こう言っていました。

「あなた、相当スゴい守護霊憑いてるよ。悪いものなんて寄り付かないくらい強い。こんな強いの、初めてみた。」

それから何故そんな強い守護霊が憑いたのか色々質問されました。
そして結論としてはどうやら、ちゃんと墓参りをしている、という点ではないかと言われました。

私はお盆やお彼岸は勿論、小まめにお墓へ足を運んでいました。
好きでやっていた事ではありましたが、思わぬご利益があったと思うと得した気分になります。

ひょっとしてスーパーの前にいたあのおじさんも、この守護霊を見て言っていたのかもしれません。

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