恐怖の泉

実話系・怖い話「ナンパした幽霊」

これは私が大学4年生だった時でしょうか。
親友からおかしな連絡が来ました。

その親友とは遡って2週間前、仲間内でキャンプ場へ遊びに行っていました。
2週間ぶりに話す親友はどこか様子が変というか、元気が無く何かに怯えている印象を受けます。
どうしたのか親友に聞くと、最初は言いづらそうにしていたのですが…

「あの女が付きまとってくる」

そう言ってきました。

スポンサーリンク

あの女、と聞いても私には何の事か全く分からず、親友の話では埒が明かないと思って、アパートに直接出向きます。
親友の部屋のチャイムを鳴らしても全然出てこないので、ドアを軽く叩いて自分が来たことを告げると、ようやく出てきてくれました。
2週間ぶりに会う親友は明らかに顔色が悪かったです。
事情を尋ねると、どうやら「あの女」とは、キャンプの川で会った女だと分かりました。

私達がキャンプに行った日の夜9時半頃、お酒を飲んでいると仲間の1人が「川に行こう」と言い出して、皆で涼みに向かいました。
その際、川辺に黒髪ロングヘアーで白いワンピースを来た女性が1人、体育座りをして川を眺めていたのです。
今考えると不気味な状況だったのですが、酔った勢いで頭が回らなかったのかもしれません。
親友は話しかけていました。

「君すごく可愛いね」「一緒に遊ばない?」
ナンパの決まり文句を放つ親友を、女性はジッと見ていました。
その女性の顔はとにかく色白で、なかなかに可愛いかったです。
親友が熱心に声をかけるのも納得でした。

結局ナンパは失敗して女性はどこかへ行ってしまったのですが…親友が言うには、部屋にあの女性が現れるというのです。
まさかそんなはずは無いと思ったのですが、親友の怯えた様子は嘘とも思えません。
とりあえず状況確認のため、その日は私も親友宅へ泊まることにしました。

夕方から次第に夜となり、7時半頃に夕飯を食べて、それからはずっとテレビを見続けるも何か起こる気配はありません。
やっぱり親友の思い違いなのでは、と思った矢先の9時半頃。

ピンポーン

部屋のチャイムが鳴りました。
しかしどういうわけか親友は全く出ようともしません。
まさか女が来たのかと思い、ジェスチャーで親友へ合図を送ると、青ざめた表情で親友が
「あの女が来た」
とポツリ言いました。

私もビビッてしまい、しばらく無視していると今度はドアをドンドン強く叩き始めました。
それも無視していたら、帰ったのか何も聞こえなくなりました。
恐る恐る玄関を開けて周囲を確認してみると、親友の部屋の前がビシャビシャに濡れているのです。
不思議な事に、他に濡れている箇所は一つも無いのに、親友の部屋前だけが濡れていて…鳥肌が立ちました。

また女が来たらどうしようと待ち構えるも、異変は起きず夜も遅くなったので寝る事にします。
ところが私が寝ていると、突然顔に何か冷たいものが落ちてきました。
何だと思い目を開けると、ビシャビシャに濡れた女性が私の顔を覗き込んでいたのです。

眠気もぶっ飛ぶほどビックリし、大きな声を出そうとしたものの、全く声が出ません。
体も動かすことが出来ず、金縛りという状態になっていました。
なす術も無く、その女性を見るのも怖いので目をつぶり、時が過ぎるのを待ちます。
一応気になったので、薄目で顔を確認してみると、やはりキャンプの川で親友がナンパしていた女性でした。

マジでこれはヤバいかも…と思っていると、その女性が私に馬乗りになりました。
そして私の耳元で
「その人に近づかないで」
と呟いてきます。

とにかく助かりたい一心で、私は頭の中で「分かった!」とひたすらに連呼します。
しばらくすると女性の重みがスッと消えて、目を開けると女の姿はありませんでした。
夢だと思いたかったのですが、寝ていた布団がビシャビシャに湿っている…。

それからは友人達で集まって、緊急会議を開きました。
皆で持ち寄った幽霊撃退のアイデアを片っ端から試しまくり、親友を救うため数ヶ月間、素人なりに必死に対策をしました。

効果があったのか、一応女性の幽霊が出る事はなくなりました。
ちなみに、どの除霊方法が効いたのかはいろいろやったので分かりません。
完全に撃退出来たのか未だに確信が持てないので、ふとした瞬間にあの夜見た女性の姿を思い浮かべると、背筋がゾッとします。

スポンサーリンク

TOP