恐怖の泉

実話系・怖い話「霊感がある私の話」

私は昔から霊感が強い体質です。
普段は金縛りにあったり、他人が見えない霧のような物が見えたりといった程度なのですが…
2つ、不可解な体験をしましたのでお話したいと思います。

1つは私がまだ幼稚園児で冬の寒い日のこと。
夜の11時をまわった頃、寝ていた私が突然暴れるように苦しみだしたといいます。
心臓を押さえながら
「死ぬ。はぁはぁ苦しい…助けてくれぇ…。」
と悶える姿に家族がパニックとなったそうですが、何よりも恐ろしかったのは私の声でした。
まだ声変わりも程遠い幼児の私が、しゃがれた老人のような声で喋っていたのだそうです。

様子を見つつ救急車を呼ぼうか迷っていると、10分ほどで静かに寝息をたて始めた私。
ところが家族がホッとしたその瞬間、家の電話が鳴りだしたそうです。

電話は遠く離れた田舎に住む親戚からで、今さっき祖父に発作が起きて危篤だという連絡でした。
数年前から心臓を悪くしていた祖父は、親戚と同居しながら介護を受けていたのですが、ちょうど私が暴れ出し落ち着くまでの時間に同じような状況で苦しみだしたと言います。
祖父はそのまま回復せず、亡くなりました。

両親は言っていました。
「あの時の声は、よくよく振り返るとお爺さんのものだったのかも…。」

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2つ目は、小学校2年生の夏のことです。
地元の少年野球チームに所属していた私は、保護者同伴の夏合宿に参加していました。
4階立てのホテルの1階と2階をほぼ貸し切るような状態で使うこととなり、私の部屋は2階でした。
荷物を置いたら早速練習が始まり、2泊3日の合宿中は朝から晩まで野球で汗を流し、夜は花火をしてと非常に楽しめるイベントだったのを覚えています。

最終日の夜、電気を消して布団へ横になると体は一気に硬直し、仰向けの状態で私は金縛りになりました。
どうせまたいつもの金縛りだとタカをくくっていたのですが…何やら不穏な気配を感じます。
よく見をこらしてみると、真っ暗な天井に蜘蛛の巣のような模様の黒い霧がかかっていました。

その蜘蛛の巣の中心、ちょうど真下には私がいます。
普通ではない状況に何か起きると直感的に感じたものの、身体は足のつま先まで全く動きません。
脂汗をかきながら天井を見上げていると、蜘蛛の巣の外側が少しずつ揺れているのに気づきました。
なんと大きな蜘蛛が、巣の中心部分へと近づいて来るのです。

「あぁ、蜘蛛の巣に捕らえられた蝶々の気分はこんな感じなんだな…」
私はそんな事を思いました。
もはや恐怖というより、圧倒的な絶望や諦めといった気分です。

確実に死んだ。
そう思った瞬間、巣の揺れが一気に大きくなって金縛りが解けました。

急いで身体を確認するも、なんら異変はありません。
部屋には同級生も泊まっていましたが、無事でしたので「寝ぼけて見た夢だったのだろう」と一安心しました。

朝になり、皆で朝食を食べに食堂へ向かうと、ロビーは警察官が数人いて慌ただしい雰囲気です。
何事かと会話を聞いていると
「人が亡くなった。」
と聞こえてきました。
他の宿泊客はホテルマンに問い詰めていました。

後に聞いた話によると、私の寝ていたちょうど真上にある、3階の部屋で男性が亡くなったそうです。
あの蜘蛛は私ではなく、上の宿泊客を狙っていたのだと分かった時、震えが止まりませんでした。

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