恐怖の泉

実話系・怖い話「拝み屋さんの祈祷」

これは私の母方の叔母が、幼少期に体験した話です。

現在は整地されていて面影は全くありませんが、母方の実家近くには昔、地域のお墓が残されていたそうです。
当時はそこが子供たちの遊び場の1つだったらしく、よく遊んでいたのだとか。

ある時、叔母がいつもの様に遊んで帰ってきた後、体調を悪くして寝込んだそうです。
40度を越える高熱が急激に出たらしく、一向に下がる気配が無い事から病院へ連れて行こうとしたそうなのですが、動く事が出来なかった為往診を依頼しました。
診断結果は「原因不明」というものでした。

とりあえず処方された薬を服用したものの回復の兆しは見えず、困り果てた祖母・祖父は知り合いの方から
「お墓で遊んでいたのに一因があるのではないか。」
と指摘され、いわゆる「拝み屋さん」を紹介して頂く事になったのだそうです。

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その「拝み屋さん」は相談等にも対応している方で、地元では良く知られていたそうです。
実家に来ると拝み屋さんは叔母の様子を見てから、家全体のご祈祷を始めました。結構長い時間で、数時間は経っていたとの事でした。
叔母は祈祷が始まってしばらくすると眠ったらしく、かなりうなされていたそうでしたが、徐々に落ち着いて眠ったといいます。
そして祈祷を終えた拝み屋さんから、原因についての説明がありました。

「この土地の下に墓石が埋まっている様だ。その上に家を建てているものだから、墓の主が怒っている。
掘り起こすのは難しいだろうから、毎日お供え物やお水をあげると良い。」

丁度、実家の裏に少し開けた所があったので、そこへ簡易的な祠を設け、お供えをする様になりました。
それから程なくして叔母の熱はケロリと下がり、夜には食事も食べれる様になったそうです。

叔母は夢か現実か分からないが、祈祷されている時の出来事を覚えていると言います。
「お祈りが始まるのを聞いていたら、白いもやの様なものが自分から出てくるのが分かった。それは段々と形がはっきりとしてきて、おじいさんの顔になった。
おじいさんはうろうろと自分の周りを移動して、離れたくなさそうだった。暫くするとスーッと上に行きながら、ゆっくりと消えた。」
のだそうです。

私の祖父母は地元の人間ではなかったので、家を建てる前にその土地がどういった場所か把握していませんでした。
ですが地元の方も、かなり昔にお墓があったらしい、位の話しか知らなかったそうで、まさか家の下に埋まっているかもしれない墓石の主が憑依していたとは思いもしなかったようです。

祠の方は後に綺麗に建立され、長い期間お供えをしておりましたが
「長い期間しっかりとしていたので、墓の主も成仏した様だ。もう大丈夫。」
という拝み屋さんのお墨付きを頂き、撤去したので今はありません。

叔母はこの出来事について、こう言っていました。

「そのおじいさんの霊は怒っている様子ではあるものの、『呪ってやる!』といったような物でなく、『この下にいるんだ分かってくれ』みたいな感じだった。
拝み屋さんのご祈祷が進むにつれ、『もう分かったから、この下にはいたくないのでどうにかしてくれ』とお願いするようなおじいさんの姿は可哀想で、無事成仏出来て良かった。」

幽霊の悩みも解決する拝み屋さんの力は、本物なのかもしれません…。

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