恐怖の泉

実話系・怖い話「決まった時間に消える照明」

私達家族がアパートから今の家へ引越してきたのは、約10年前のことです。
ようやくマイホームを手に入れた喜びで、家族皆が浮足立っていました。

ところが住み始めてから数年後、突然部屋の照明が消えてしまう不具合が起きたんです。
それも私の部屋だけです。
他の部屋に設置している照明も同種の物なのですが、不具合なく普通に使えています。

不具合と言っても、スイッチを入れれば問題なく照明が点くのですが…どういう訳か夜の11時になるとまるで停電のように、パッと消えてしまうんです。
これが毎日のように起こります。
夜11時だと自分はまだ起きてパソコン作業を行っていますから、照明が消えてしまうと手元がよく見えないのでストレスを感じます。

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ライトが劣化を起こしたのかもしれないなと思い、新しい物へ交換すると照明が消える症状は無くなりました。
これでようやく安心して暮らせると思ったのも束の間、新品のライトにしてから数日後、再び照明が消える症状が出始めます。
消えるのは、やはり夜の11時です。

こうなると疑われるのは、ライトではなく照明本体の不具合です。
そこで家電量販店で照明本体を購入して取り付けてみたんです。
ところが、やはり結果は同じでした。

新品を購入したけれど、ひょっとして取り付けを自分で行ったため、どこかのやり方が悪かったのかもしれないな…。
とにかく原因が分かりませんから、専門の業者さんに依頼したんです。
自宅を訪れた業者さんに不具合の症状について詳しく説明し、点検から取付作業まで行ってもらいました。
業者さんが言うには、特に異常など見られず、しばらく使ってみて不具合が起こるなら照明本体が不良品であるかもしれない、メーカーに修理を依頼するのが良いだろう、とのことでした。

プロにしっかり見てもらっても、やはり状況は変わりませんでした。
毎日のように決まったあの時間になると、照明が消えてしまいます。
仕方がなくメーカーに問い合わせて対応してもらいましたが、回答は不良を確認できないというものでした。

訳が分かりません。完全に手詰まりしてしまいました。
どこも悪くないのに、なぜ夜の11時になると照明が消えてしまうのでしょうか。
一か八か、別のメーカーの照明に取り替えてもみましたが、また同じ症状です。

もう原因を考えるだけで頭が痛くなってくるため、潔く諦め、夜11時以降の作業は行わずに寝るようにしました。

すると思わぬ変化が起きたのです。

私は慢性的に疲れを感じており、朝の目覚めが悪かったのですが、すこぶる快調になって疲れがみるみる取れ、体が軽くなっていきました。
いつもは日付が変わってから寝ていた所を、11時前には寝るように変えたので当然と思うかもしれませんが、それにしても調子が良すぎるほどの回復力です。
あまりにも快適なため、そのリズムで生活を続けるようになりました。

ところが仕事も繁忙期へ入ると、どうしても夜更かしして作業を行う必要が出てきます。
夜11時にまた照明が消えてしまうのだろうな…と久しぶりに深夜の作業を行ったのですが、びっくりした事に消えないのです。
いつの間にか直っていました。

その後も稀に就寝が11時を過ぎる事がありましたが、照明が消える事はありません。
ひょっとしたらあの現象は、照明が夜更かしする自分の体を気遣ってくれていたのかも?などと都合よく妄想してみましたが、例えそうであっても気味の悪い体験だったことは今でも忘れられません。

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