恐怖の泉

実話系・怖い話「白いモノ」

これは私がまだ実家に住んでいた時の話です。

私は仕事が終わって家に帰ってきてから、ダイエットがてらランニングをすることが度々ありました。
仕事が終わってからなので結構遅い時間からのスタート。その日は21時に家を出ました。
準備運動を家の玄関で入念にしてから、まずはウォーミングアップとしてウォーキングです。

私の実家は結構な田舎で、外灯がポツリポツリとあるだけです。
家を出たらすぐにT字路がありますが、「車が来ないか、不審者がいないか」の確認のために、行きたい方向とは逆の方向も念のため確認して歩を進めます。
すると、行きたい方向ではない方の外灯の下に、猫ぐらいのサイズの白いふわーっとしたモノが見えました。

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さほど気にすることなく、白い猫かな?くらいに思って、反対方向に向かってウォーキングをスタートさせました。
少し歩いたところで、ふと白い猫が気になって後ろを振り返ってみました。

すると、白い猫らしきものは位置が変わっていないのに、なんだか大きくなっているような気がしました。

数秒前までは猫サイズだったものが、大体2~3歳の子供ぐらいでしょうか。人の膝くらいまでの大きさになっています。
遠くに離れて行っているはずなのに、なぜか白いものが大きく見えたのか疑問を持ちました。
ですが先ほどよりも離れているので余計にハッキリした形も分からず、白いふわ~っとした毛の塊にしか見えません。

しばらく道を歩いて直進し、曲がり角に差し掛かかるとランニングのスタートなのですが…やっぱり気になったので、最後にもう一度だけ振り返ってみました。

白いモノは、大人ぐらいの大きさになっていました。

すでに100m以上は離れていましたが、明らかに大きくなっていて、なんだか私も少し怖くなってしまいました。
すぐに角を曲がって走り始めたのですが、得体の知れない物を考えれば考えるほど怖くなります。

夜道を走り出すと、今度は唯一の灯りである懐中電灯が急に消えてしまいました。
真っ暗になったことで余計に恐怖心が広がり、私は脇目も振らず、考える余裕もないほど必死に家まで戻りました。
あまりにも必死に走っていたので、白いモノが視界に入っていたはずですが、もう消えていたのか見た記憶が全くありません。
急いで家に帰り着き、息を切らしながらすぐ母に出来事を話しました。

母は
「白いモノ?何だろうね?離れているから大きくなるのは変な話だね。懐中電灯はちょうど電池切れちゃったんだね~。」
と、特に怖がりもせず普通に話をするので、私も
「何かの見間違いだったのかなぁ。」
となんだか拍子抜けしてしまいました。

次の日。

「昨日は全速力で走ったし、今日は観たいテレビあるからランニングはお休みしよう。」
と、家でテレビを観ていました。
すると救急車の音が聞こえて近所で停まったのです。
何事かと気になり、一緒にテレビを観ていた父と外へ出てみました。

どうやらご近所さんが急病らしく、救急車で運ばれていきます。
それを少し離れた所から見ていたのですが
「なんだかこの風景、どこかで見たなぁ…。」
と少し考えていると、ハッと思い出しました。

そこは前日に見た白いモノが立っていた場所でした。
救急車に運ばれるご近所さんのお家の前に、あの白いモノがいたのです。
慌てて家に入り時計を確認したら、21時7分。

昨日ランニングするために家を出たのが21時で、入念な準備運動をしてからの出発だったので、21時7分ぐらいに白いモノを見ていた可能性が極めて高い。
ビックリした私は母に
「お母さん!昨日、白いモノを見た場所と時間が一緒!」
と、怖さのあまり叫んでしまいました。
母も前日に聞いてたことを思い出したようで、少し青ざめていました。

残念ながら救急車で運ばれたご近所さんは、そのまま病院で亡くなったそうです。
もう何年も前のことですが、私が見た白いモノが何なのか、未だに分かりません。

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