実話系・怖い話「友人の激痩せ」
これは私が社会人1年目の時、同期の友人に起こった話です。
彼は少ない賃金から学生時代の奨学金返済をしなければならない割には、交友関係が広くひっきりなしに飲み会へ足を運んでいました。
そんな生活ですからお金が貯まるはずもなく、毎月ギリギリの生活をしていたのですが、住んでいる所が結構良い物件なのです。
私は思わず
「そんなにお金がキツいなら住むとこ見直して家賃削れば?引っ越しとかはオレも手伝うから、なるべくお金かからないようにすればいいじゃん!」
と提案したのですが、友人は
「いや、ここ以上に安い所なんてないよ。それは無理ゲー。」
と一刀両断でした。
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こんなに快適な部屋なのに、家賃が安い?
相場的には、どう考えても家賃10万円以上はしそうな物件です。
なぜそんなに安いのかと尋ねると、彼の口から衝撃の一言が出てきました。
「あ、言ってなかったけ。ここさ、事故物件なんだわ。」
本気で言っているのかと私が思っていると察したのか、友人は続けます。
「いや、俺けっこう飲みいったりするじゃん。それは学生の時から変わらないからさ、どうせ金すぐなくなるだろうなと思ってなるべく安いところにしたのよ。
まぁ別に霊感ないし、良いかなみたいなノリで決めたんだ。」
思わず開いた口が塞がりませんでしたが、特に変わった様子も無かったので、賢い選択なのかもな…と感じました。
季節は夏になり仕事にも大分慣れてきた頃、久しぶりにその友人と遊ぶ事になって渋谷で待ち合わせをしたんですが…
その時にビックリしすぎて腰が抜けるかと思いました。
ちょっと前まではガッチリしていたはずの友人の肉体が、ゲッソリと痩せ細りガリガリの状態だったのです。
開口一番で「どうした?」と言葉をかけると、実は今日は遊ぶために呼んだのではなく、相談に乗ってくれないかと言われました。
話を聞いてみると、住んでいる部屋で異変が多く寝不足になっている。
金縛りは毎日のようにあり、部屋が妙に寒い。
どこからか「ギー」という軋むような擦れるような音が聞こえてくるし、仕事で疲れた体が全く休まらないそうなのです。
「やっぱり事故物件だからなんじゃない?」
とアドバイスすると、彼も
「やっぱりそうかな。GW明けからずっとそんな調子で睡眠時間1~2時間なんだよね。もう限界と思って相談したんだ。」
と音を上げます。
早速、2人で物件を管理する不動産屋さんへ行ってみると、担当の女性は
「やっぱり駄目でしたか…。」
と肩を落としているのが見て取れました。
その部屋が事故物件になったのは5年前だそうで、GW中に亡くなっていたそうです。
それからというもの住人の入れ替わりが激しく、不動産屋さんでもどうしたものかと思っていた所に陽気な友人が
「事故物件?あぁだからこんなに安いんだ。いいよ詳しい説明なんてなくて。とにかく安い所が良いから。」
と即決し、ひょっとしたらこの人なら…と思って賃貸したと、担当の女性は言っていました。
その後友人は引越しをして、今では元のふくよかな感じに戻ったので安心しました。
ちなみに例の物件はさすがにもうこれ以上は貸せないという事で、同じアパートの中でその1室だけ空室となっているそうです。
最近は安いという理由であえて事故物件に住む方も多いようですが、私が物件を探す時は気をつけようと思った出来事でした。
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