恐怖の泉

実話系・怖い話「追い出すもの」

これは私の友人の話なのですが…

友人の実家は結構な田舎なのだそうです。
様々な野生動物が出てくるけど、それでも平和で人も優しく、確かに不便かもしれないけどもずっとここに居たい。
そう思える所なのだとか。

高校生のある日、友人はいつもと同じように下校していたそうです。
すると学校と家の道のりのほぼ中心辺りで、何故か急に
「私は、この町を出て行かなければいけない。」
そう思ったというのです。

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何かが見えたとか、聞こえたというきっかけがあった訳ではないと言います。
それなのに、こんなに好きな町を出て行かなくてはいけないという思いに駆られたのだそうです。
友人はショックを受け、しばらく沈んでしまったと言います。

しばらくして地元愛も持ち直してきた頃、突然嫌な思いに駆られた場所で死んだ烏を見ました。

もちろん、動物も多い田舎なのでそういうことがあってもおかしくはありません。
ですが同じ場所ということに、友人はまたも嫌な気持ちになったと言います。

そしてその数日後、同じ場所で誰もいないはずなのに、ひたひたと歩く音が後ろから聞こえたそうです。

隠れられるような場所は無かったし、動く物も見えない。
ただ、何かが後ろから付いてくるような気配と足音だけがあったのだとか。

話はさらに続き、その後も同じ場所で気配や足音、バチッという変な音もしたと言います。
都会であれば別の道を通って帰ることも出来るのかもしれませんが、友人はその道でなければ帰れません。
更に不思議なのが、行きは何も起こらないというのです。帰りにだけ異変が起こるのです。

ですがそんな事にも慣れてしまい、いつも通り暮らしていると夢を見ました。
夢には誰か分からないけど人が出てきて、姿も覚えていないらしいのですが、その会話の内容だけ覚えているそうです。
その人は
「今までいろんな事をしてきたのは私。出て行ってほしい。」
と言ったそうです。

その夢は何度も繰り返し見て、ついに耐えかねた友人は
「もう出て行きます。」
と返事をしたら、帰り道の異変も夢も無くなったらしいです。

結局、友人はこうして地元を出ています。帰る気もないそうです。
その後友人に異変は無いそうですが、地元はただただ人が減っているらしいです。
過疎化が酷い地域ではあるそうですが、何か他の要因もあるのかもしれないと感じた話でした。

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