恐怖の泉

実話系・怖い話「寂れた公園」

私の育った地元は田舎ですが、年々土地の開発がされており、最近では大型ショッピングモールも出来るようになるまで発展しています。
しかしまだまだ未開発の土地も多いため、現時点では田舎と都会が入り混じったような状態になってしまっています。

昔から住んでいる人なら、時代の流れを知っているため違和感を感じないかもしれませんが、初めて来た人からしたら
「なんで道路を挟んでこんなに違うの?」
と疑問を持つこともあるくらいです。

ところが1箇所だけ、いつまでも開発されないままで居る空間があるのです。
昔から住んでいる私自身もその場所を疑問に思っており、周りの人もそうでした。

その場所とは、新しく開発された区画の中央より少し南の方にある、寂れた公園です。

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公園はすでに遊具も錆びており、時々小さい子供が遊んでいますが、近くにはもっと大きく綺麗に整備された公園もあるため、需要はあまりないと思われます。
土地開発する上でも街の景観とは合わず、やろうと思えば素人目にもコンビニ1つくらいは入るスペースがあります。
近所の方も必要ないし、もうじき無くなると思っていたのですが、何年たっても無くならないため不思議に思っていました。

そんな中、他県から来たばかりの友人へ私の地元を案内していた時のこと。
友人もやはり「あの公園何?」と目に付いたようでした。
「昔からずっとあるがなんで残っているかわからない」と伝えると、急に走ってその公園を見に行く友人。
私も遅れてついていき、公園に入りました。

初めて入る公園は外から見るよりもきれいに見え、使い勝手は悪いですが、昔ながらの落ち着いた感じがあって残される理由もなんとなくわかりました。
友人の方はというと、何をはしゃいでいるのかかなり雑に遊具で遊んでいます。
すると、子供向けの遊具で大人が遊んだせいか、はたまた老朽化していたのか、ブランコを壊してしまいました。

友人は興奮冷めやらぬ様子で、そのまま笑いながら逃げるように公園を去ろうとします。
流石にそのままではマズいと感じた私は、無理だと思いながらも直せる範囲でブランコを何とかしようと試みます。
すると急に空気が寒くなったり(季節は初夏でした)、耳鳴りがしたりとおかしな感覚を覚えました。
結局ブランコはどうすることも出来ず、諦めて公園を出ようとすると、左腕を何かに引かれるような感覚がありました。
振り向いても当然誰もおらず、横に木があったので服が引っかかったのかなとその時は思いました。

その夜、家に帰って風呂に入ると左腕に打ち身のような痕が薄くありました。
日焼けかどこかにぶつけたかな?と思いましたが、まぁすぐ消えるだろうとあまり気にしなかったのですが…
しかし数日ごとに左腕の痕は目立つようになり、長そでを着ないと注目されるほどにまで酷くなりました。
ここまで強く痕になる心当たりはありません。

ところがその友人と後日電話で会話していた時に、何気なく左腕の痕について話してみると
「それ私にもある!」
と思いがけない反応が返ってきたのです。
友人の左腕を見てみると、確かに私と同じような打ち身?のような痕がくっきりと浮かんでいました。
私は痕だけでしたが、友人はだんだんと左肩が重くなっていったり、自転車と衝突事故が起きて左腕を負傷し、病院にまで運ばれたそうです。

「一体何が?」
謎解きのように私と友人で共通点を探すと、痕が出来る前一緒に遊んでいました。その1日を思い返してみると…あの公園での話が自然と上がってきました。
怖くなって一度電話を切り、親にあの公園について話を聞くとうる覚えではありましたが
「そういえば大分昔に、あの公園のブランコで大きな事故にあった子供がいたな。」
という返事が。
あの公園に何かがあると、私は感じました。

改めて友人に連絡した私は「もう一度公園に行こう」と話をしました。
何が出来るのか分かりませんでしたが、行かなければならない。
そう感じた私達は、2週間後にまた公園へ行く約束をしました。

ところが不思議と、左腕の痕は次第に薄くなり、2週間後にはほとんど消えてなくなりました。

一体何だったのだろうと思いながらも、約束通り友人と公園へ行くと、土地開発が始まったのでしょうか。
遊具は1つ残らず撤去されていました。

作業している方へ話を聞いてみると、公園は土地整備のため2週間前から工事に着手し始めたとのことです。
しかし業者の方が次々と体調不良やケガを負っているため、なかなか工事が進まず長引きそうだ、という話をしていました。

もしかしたら私と友人は遊具を壊したため罰として痕が出たのかもしれませんが、工事が始まって標的が変わることで腕の痕が消えたのではないのかと、オカルト的な憶測をしています。

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