恐怖の泉

人間の怖い話「待ってる」

これは夏になる前くらいの季節でしたでしょうか。
当時小学校だった私が友人と親同伴で、近くのB湖へ水遊びに行った時の出来事です。

その日は観光客等は余りいませんでした。
視力の良い友人が
「あそこ見て」
と一番に気付きました。
視力が悪い私でも、そこに何かが浮いているのは分かりました。

「行って見てみよう」
友人が言うのでそうっと近付いて確認した瞬間、全身に電気が走ったかのようなショックが走り、汗が噴き出ました。
浮いていたのは男性でした。

勿論、B湖でそういう不慮の事故や事件がある事は知らされていたのですが、いざ現場を目の当たりにするとパニックです。
その男性はまだ生きていて気付いた私達に何かを言いたげでしたが、水を飲んでしまっていたのかよく分かりませんでした。

湖岸まで戻って誰かを呼ぶ事にしようと思って走り出そうとする私とは違い、振り返ってみると友人は男性を岸辺へ引き連れようとしています。
子供でも、確かに浮力を利用すれば少しずつなら運べたかもしれません。
とにかく私達はお互いに出来る事を急ぎました。

恐さもあり、何処をどうしたか等の細かな所は覚えていませんが、大人達が男性を囲んでそのうち救急隊が来た様でした。
そうして男性は運ばれていく際、私達の方を見て
「待ってる」
と言ったのです。

あまり聞き取れずハッキリとは断言出来ないのですが、口の動く型からはそう言ったように思います。
何を待ってるのか意味が分かりませんし、恐怖を感じてトラウマになった私と友人は、それ以降一切湖はもちろん海や川の遊びに行かなくなりました。

その後、その男性がどうなったのかは分かりません。
私も今では歳を経た大人となりましたが、友人とはこの件に関して一回も語り合った事が無く、言ってはいけないような雰囲気すらあります。

「待ってる」とは、一体どういうことなのでしょうか…。

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