恐怖の泉

実話系・怖い話「苦しめる手」

これは私が結婚をする前に体験した話です。独身時代の私は、まさに自由奔放でした。

仕事はフリーな感じで、たまに入る読者モデルの撮影をしてお金を稼いだり、それでも足りない場合はキャバクラで稼ぐという、気ままな生活をしていました。
実家で暮らしていたので食べる事には困らず、余計に完全なる自立ができていなかったように感じます。

そんな私が自由なのは仕事や生活スタイルだけではなく、恋愛に関してもかなり自由でした。
今考えると女性としてだらしがなかったなと思えるのですが、勿論当時はそんな事も考えることなく、様々なジャンルの人と気ままなお付き合いをしていました。
付き合っているのか遊んでいるのか分からない曖昧な関係で、特にHとGという2人の男性と一緒に過ごしていました。

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Hは医療関係の仕事をしていて、実家もとても裕福な男性でした。
見た目も悪くはないので、もしかしたら私以外にも一緒に過ごしている女性がいるのかな?と思いつつ、彼との程良い距離感が楽しかった記憶があります。
何より私には結婚願望というものがなかったのも、お互いの関係が続いた要因なのかもしれません。

反対にGは若くして土建業で成功していて、従業員は3人ながら20代後半で社長をしていました。
Gは私に対して束縛が激しく、恐らく女性との関係は私だけだと思っていたので、付き合いが重荷に感じることも少なくありませんでした。
そんなGからは将来の事をほのめかされたり、当時彼が住んでいたマンションで生活をしようと言われるものの、毎回なんとなくはぐらかしていました。

そんな生活を続けていた私に、異変が起きたのです。

その日はクリスマスのイブイブで、寒いながらも街はとても賑やかでした。
私はクリスマス期間はバニーガールに扮装し、店頭であるお酒メーカーの商品PRをするアルバイトをしていました。
クリスマスの予定も一切入れておらず、年末にバタバタと方々で忘年会をする約束をしていたのです。

23日は仕事の後の飲み会に参加したので、かなり酔って実家へ帰りました。
メイクも落とさずにベットで眠りこんでいると、突然
「死ね」
と、女性の声が耳元で聞こえました。

気がついて私がうっすらと目を開けると、誰かの手が私の首を絞めているのです。
体は固まって動かないので目だけで確認すると、細くて美しい手がそこにありました。

最初は妹が冗談でやっているのかと思い、必死にもがきます。
するとス~っと体から手は離れ、はっきりと目が覚めると体も動くようになりました。
体を起こすと、私の部屋のテレビと間接照明はつけたままになっています。
妹がいた形跡もないので、急に怖くなり妹の部屋へ行くと…妹は留守でした。
そういえばクリスマス期間は彼氏と泊りへ行くと、前日に言っていた事を思い出しました。
両親の寝室も覗いてみましたが、2人とも熟睡です。

悪い夢でも見ていたんだなと思い、メイクを落とすために洗面所へ行きました。
そこで洗面所の鏡をふと見ると、私の首にはっきりと手の跡がついているではありませんか。

誰かが私の部屋に来て首を絞めた事が事実だと思うと、怖くて体が震えました。

その日から私のすっきりとしない日々が始まりました。
家に帰るのが何だか嫌だった私は、それこそ日替わりでHやG、その他男友達と遊んでと、男性の家を転々とする様になりました。

ですがどこへ行っても、寝入った時に誰かが首を絞める出来事が続きます。
現実なのか夢なのかも曖昧で、しかも原因不明な怪奇現象に追い詰められた私は段々と神経質になり、一時期はノイローゼ状態にもなりました。
精神的に不安定となったことで、気がつくと私の周りにはHやGはおろか、1人残らず男性が離れていったのです。

ある時、私のひどいやつれ方を心配した職場の同僚が霊能者だという人を紹介してくれました。
その同僚には私の不調の原因を話していたので、心配してくれたのです。

霊視した所によると、Gの別れた元彼女が私の事を相当恨んでいる事が原因だと言われました。
その恨みが生霊となって、私へ悪さをしているらしいとのこと。
すぐにGの元彼女に会って、誠心誠意謝罪しなさいと指示を受けました。

Gの元彼女はなかなか私との対面に応じてくれなかったのですが、Gに説得してもらい、会って謝罪をしました。
霊視の通り、私はGの元彼女から相当な恨みをかっていました。
それもそのはず、Gとの結婚を意識し始めた矢先に私が現れ、別れの原因となっていたのです。

それからは私を苦しめる手は現れなくなりました。やはり手の主はGの元彼女だったのだと思います。
人との付き合いは真剣にするべきだと痛感した私は、その後お付合いした方と幸いにも結婚することができました。
若気の至りで片付けられない、私の体験でした。

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