恐怖の泉

実話系・怖い話「出先のホテル」

私は職業柄、よくビジネスホテルに滞在する機会がある者です。

私は普段から霊感が強く、冷たい空気や重たい空気を感じる事があります。
確かに人の気配を感じたのに誰もいない、などは日常茶飯事で起こる事です。

そんな私が一番怖くて困っていることは、滞在先のホテルで起こる恐怖体験です。
出先で休む場である宿泊地がそんな調子だと、仕事や体調にも支障をきたすので参ってしまいます。

これはそんな私が霊の存在を強く感じた出来事です。

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この時もチェックインを済ませ、ルームキーをもらい部屋へ向かう所々で重たい空気を感じていました。
まぁいつもの事だと自分に言い聞かせ、気づかないふりをして歩き続けました。

そして自分の部屋のカギを開け中に入るや否や、強く重たい空気を感じ
「あ…この部屋、本当にやばいかも…。」
という印象を受けました。
しかし夜になるまで部屋で仕事をするも異変は無く、単なる思い違いだとホッとして外食に行く事にしました。
外食とは言ってもホテルの近くにある定食屋なので、30分くらいで部屋にまた戻ります。

夜の8時くらいだったでしょうか。
部屋に戻ると今までとは全く違う空気感に鳥肌が立ってしまいました。

見えない誰かが部屋の中にいる。
どこにその誰かがいるのかは分かりませんが、同じ部屋の中で私を見ている感じがします。
早急に終わらせないといけない仕事が残っていましたが、正直恐怖心の方が勝り仕事どころじゃありません。
今までにない強い気配に、感じる事は出来ても目に見えない状態はこんなにも人の恐怖心を煽る物なのかと、改めて思いました。

頭の中にある、霊を見てしまうんじゃないかという恐怖。
後ろを向いたら、扉を開けたら、カーテンの隙間から…。

「このままではいけない。」
そう思った私は、居酒屋へ飲みに行き気を紛らわせようと思いました。

それからの3時間くらいは、居酒屋に来ていた地元のお客さんから美味しいお酒を教えてもらい、楽しく過ごす事ができました。完全にホテルの事は忘れていました。
ところがお店も閉店の時間という事なので、重たい足を引きずるようにホテルへ戻ることとなりました。

ホテルの廊下は相変わらず重たい空気で気持ちがめげそうになりましたが、今夜一晩だけの我慢と自分に言い聞かせ、部屋のドアを開けます。
すると先程の嫌な空気感は無く、お酒を飲みに行くという考えはあながち間違いではなかったな、と考えている自分がいました。
それからは酔っていた事もあり、シャワーを浴びて転げるようにベッドで横になり眠りにつくことが出来ました。

どれくらい時間が経っていたのか定かではありませんが、シャワーがすごい勢いで出ている音で目が覚めました。
「どうしてシャワーが?自分が閉め忘れたのか…」
と思い、シャワーを止めに行こうとするも足がすごく重くて動きません。
「えっ…?」
視線を足元へ向けると…

青白い腕がベッドの下から伸びて、私の両足首を掴んでいたんです。

無我夢中で足を動かし、掴む手を振りほどいた私は着の身着のままで廊下へ出て、その勢いで必死にフロントまで走りました。
部屋を変更してもらうべく交渉しようと思いましたが、そこには何故か誰もおらず、仕方なく車の中で朝まで過ごす事にしました。

夢なのか現実なのかよく分からない出来事に、自分でも驚くほど動揺してしまい、しばらくの間震えを抑える事が出来ませんでした。
自分の足首を再度確認してみると、誰かが掴んでいたという証拠がくっきりと青あざになって残っていて、再び恐怖心が蘇りました。

それからはあまりにも気配の強い宿泊先には泊まらない、または遠慮なく部屋を変更してもらうよう、気をつけています。

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