恐怖の泉

実話系・怖い話「ついてきたお坊さん」

今年の3月ころでしょうか。
ある夜、眠っているとベッドの隣を誰かが通ったような気配がして目を覚ましました。

私は普段妹と一緒にベッドを並べて眠っています。
並べて、と言ってもベッドとベッドの間には人が通れるくらいの間が空いており、そこを誰かが通った気がしたのです。
その日、妹は友人とバスツアーへ参加しており、疲れたのか帰ってきてすぐリビングで眠ってしまっていました。
部屋には私しかいないのです。

すると突然身体が動かなくなりました。金縛りでした。
動かない状態ではありましたが、視界で目の端に映ったのは誰かが妹のベッドでうずくまっている姿でした。
その姿に気が付いた私の頭へ一番に浮かんだのは
「お坊さんだ」
でした。

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そのお坊さんはうずくまって頭を抱え、頭を左右に振り取り乱している感じでした。
とはいえ顔や姿がはっきりと見えたわけではありません。影の様なイメージの様な姿を見たような気がしたのです。
なぜお坊さんだと思ったのかはわかりません。
1分くらいの金縛りが解けた頃には、ベッドには誰もいませんでした。

翌日、家族にその話をすると妹は驚いた表情で
「昨日のバスツアーでお寺に行った」
と言うのです。
有名な歴人の記念館に行った後、その近くにあったお寺のような建物も覗いたらしいのです。
私はだからお坊さんだったんだ…と納得しました。

私はどちらかというと昔から霊感が強く、「何か」を感じることがあり、何度かその姿を見たこともありました。
その際は悪寒がして物凄い恐怖を感じる時と、あー何かいるなと怖さを感じない時があります。
その違いは、きっと悪い霊か普通の霊かの違いではないかと、今までの経験で感じています。
昨日いたお坊さんは全く怖くありませんでしたので、妹についてきちゃったんだねなどと話していました。

その夜、眠っていると夢を見ました。

お寺の前で10人くらいのお坊さんが円になっていて、その真ん中に1人のお坊さんがうずくまっていました。
周りにいるお坊さんは数人が藁ほうきのようなものを持っていて、真ん中にいるお坊さんをほうきで叩いています。
そのお坊さんは頭を手で抱えながら、必死で耐えているようでした。

はっと気が付いて目が覚めると、その瞬間また気配を感じ、金縛りが起きました。
1分程の金縛りの間に、シャンシャンという鈴の様な音を聞きました。

翌日家族に
「夜、鈴の音がしなかった?」
と尋ねると、誰もそんな音は聞こえなかったそうですが、なんと妹が
「そういえば旅行から帰ってきた日、リビングで鈴のような音を聴いた」
と言うのです。

シャンシャンという音がしていたと。

やはりお坊さんと感じたのは気のせいではなかったのだと確信し、夢もひょっとしたらそのお坊さんが私に見せたものなのではないかと思いました。
きっと亡くなってからもずっと何かに苦しんでいて、囲まれて痛めつけられていた出来事を知ってもらいたい、助けてほしいと訴えたかったのかなという気がしました。

もちろん私の勝手な解釈ですし、お寺の夢とお坊さんの幽霊に関連があるのかは確かめようもありません。
しかし辛かったんだなと考えると可哀想な気持ちになり、ちゃんとお坊さんが成仏できますようにと空に手を合わせました。

その後、お坊さんが現れることはありませんでした。
お坊さんに何があったのか気にはなりますが、あまり深く考えないようにしています。

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