恐怖の泉

後味の良い怖い話「家を守る人形と幽霊」

これは私が以前に住んでいた家で起こった話です。

その家は祖父が建てた家で、1階を祖父母が使用し、2階を私や兄、姉、両親が使用していました。
2階には3部屋があったのですが、私が小学3年生ぐらいの頃でしょうか。
突然、自分が使用していた真ん中の部屋の空気があまり良くないと感じ始めました。

しかし他に空いている部屋も無くその部屋を使うしかなかったので、何が原因なのか調べる意味で両親と掃除しながら整理をしてみました。
すると押入れの奥から、市松人形?のような物が2体出てきました。

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ですがその人形に、両親はともかく祖父母にも見覚えがありませんでした。
家は祖父が建てたものなので、以前に住んでいた誰かの忘れた物、ということはありえません。

とりあえずその人形は別の部屋に置いてもらった所、部屋にあった嫌な空気も何だかすっきりした感じがしました。

それからは特に嫌な感じもなく過ごしていたのですが…しばらくすると、家族が金縛りにあい、その人形にそっくりな人が出たと言い始めました。
姉は、真夜中にトイレへ行こうとしたら綺麗な着物を着た女性が手招きしてきた、と言うのです。
詳しく聞いてみると、なんと兄も同じ着物を着た女性を目撃していました。
ただ兄も姉も揃って、特に怖いとは感じなかった、逆に凄く綺麗でこの時代にはいないような品のある感じがした。ただ足がない、と言いました。
足がないなんて幽霊じゃん!と思った私は、怖くて仕方ありませんでした。

人形が原因だと怪しんだ私は、両親に供養してもらおうと願い出るも
「下手にそういう事をしてしまうとこの家に帰ってくるよ。逆にこの家を守ってくれてるんだよきっと。」
と、まさかの反対をうけました。
そこで私は家族全員に、人形を見て気持ち悪いと思わないのか、人形そっくりの幽霊が出てるなんて怖くないのか、と聞くと…
みんな揃って「綺麗だし、置いておくべきだよ」と言うんです。

どうして私だけ、こんなにもその人形を見ると気持ち悪く感じるのか不安でした。
ですが私は元々、怖い話などが大の苦手なのでそう感じるだけなのかな…と思い、家族が言うように人形は家を守ってくれていると信じることにして、あまり気にしないようにしました。

そんな状態で半年ぐらい経った頃でしょうか。
私がいつものように部屋で過ごしていると、突然気分が悪くなってきました。
風邪でもひいたかなと思っていたのですが、安静にしていたら金縛りにあいました。そして夢?をみました。
その内容は今でもはっきり覚えています。

まるで戦国時代に迷い込んだような情景で、周りは火で包まれ人々が逃げ回っていました。
建物は燃え、悲鳴のような人の声が飛び交っていました。

するとそこに、あの人形そっくりの女性が現れました。

その女性は本当に美しく、火が燃え盛っているのにその人だけ別格に見えるのです。
しかし女性の近くで子を連れた女性が転んでしまい、それを必死に助けようとしたところ、建物が崩れ落ちて下敷きになってしまいました。

そこで急に夢が覚めたというか、現実に戻され、横を見ると顔は見えないのですが着物を着た女性のような人が座っていました。
そして私に
「私は守りたかっただけ。だからそっとしておいて。」
と言い、金縛りが解けました。

不思議にも怖い感覚はありませんでした。
そして家族が人形と幽霊を怖がっていなかった理由がわかった、そんな気がしました。

結局、あの女性と人形との関係や、どうして家に居たのかなどは分かりません。
ですがきっと、彼女は守れなかったからこそ、次は絶対に何かを守ろうとしてくれたのではと思っています。

今はもう引越して違う家に住んでいますが、あの人形がどうなったのか私にはわかりません。
きっとあの家を、今でも守ってくれているのかもしれません。

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