恐怖の泉

実話系・怖い話「地下道のお爺さん」

これは私が小学校6年生の夏休みで、日差しが強くとても暑かった日の出来事です。

その日は小学校3年生の弟と一緒に、自宅から少し離れた所にある商店街へ髪を切りに行くことになっていました。
その商店街に行くためには、自宅近くの車通りが激しい道路を渡る必要がありました。

その道路には地下道があって、基本的に徒歩の場合はそちらを通ることになっています。
普段通り地下道へ入ろうとすると、そこに子供を抱えたお爺さんが立ってジッと道路を走る車を見つめていました。

白い半袖のTシャツに黒い短パンという服装のお爺さんだったのですが、その時は特に変だと感じるような点はなかったので気にせず、弟と商店街に向かいました。

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商店街に着いて予定通りに髪を切った後は、ゲームセンターで少し遊んでいました。
11時も過ぎてお昼近くなったので、もう帰ろうと同じ道を通って自宅へと向かいました。
すると全く同じ場所で、さっきのお爺さんが同じようにジッと道路を走る車を見つめていました。

最初にお爺さんを見てから2時間以上は経過していたので、あれからずっとそのままだったのかと思うと気味が悪く、とにかく急いで帰宅しました。

自宅に帰った後はお昼を食べ、その後は宿題を少しやってゲームで遊んでいました。
午後2時頃になると友人から電話が来て、先程遊んでいた商店街のゲームセンターに誘われたので行くことにしました。

まさかあのお爺さんがまたいたら…と思ったので、少し遠回りになりますが別の道を通って商店街にあるゲームセンターへと向かいました。
ゲームセンターに着いた後、友人達にお爺さんのことを軽く話したりはしましたが、遊んでいる最中は特に思い出すこともなく純粋に楽しむことができました。

しばらくゲームセンターで遊んだ後はそのまま友人の家でずっと遊んでいたのですが、夢中になり過ぎてしまい気が付いたら夜の8時に。
急いで自宅に帰る必要がありました。
そこそこ遅い時間になっていたこともあり、友人の母親が車で送ると言ってくれたのですが…自転車で来ていたので1人で帰ることにしました。

ですが友人宅から自宅に帰る時の最短ルートはあの地下道を通ることとなります。
再びあのお爺さんのことが脳裏に浮かび、通るべきか迷いました。
とはいえ他の道は遠回りになることに加えて、こんな時間では人通りも少ない。それはそれで嫌だったので、最終的には最短ルートで帰ることに決めました。

3分ほどで地下道の付近に到着しましたが、車もあまりいなかったので地下道に入らずそのまま道路を渡りました。
その時、好奇心が勝ってしまい、後になって考えたら絶対に止めるべきだったのですが…
何気なく地下道の方を覗いてしまいました。

驚くことにお爺さんはまだそこにいて、朝見た時と同じように子供を抱えてジッと立っていたのです。

言いようの無い恐怖心を感じて固まっていると、お爺さんが私の方を向いて何か話しかけてきました。
恐怖心がピークに達し、私は一目散に家へ逃げ帰りました。

自宅に帰るなり尋常じゃない私の様子を見て、流石に親も変だと思ったようで何があったのか聞かれました。
私はそのお爺さんの話をしましたが、親はただの勘違いじゃないかと取り合ってくれません。
勘違いじゃないのは私自身が1番分かっていることでした。

そこで
「髪を切りに商店街行った時にお前も見たよな?」
と弟に確認したのですが、弟は
「そんなの知らないよ」
と答えるのです。

弟は最初ふざけているだけだと思ったのですが…しつこく聞いてみても、本当にお爺さんの事は知らないようでした。
もしかしたら自分にしか見えてなかったのかもと考えると非常に怖かったのですが、実際はところはよく分かりません。
それからは地下道の付近を通るのは避けるようにしています。

それから数年後。
実は過去に、地下道の付近でお爺さんと子供が交通事故で亡くなった事故があったことを偶然知りました。
あの時お爺さんは、私に何を話しかけてきたのか。もし返事をしたらどうなっていたのか…と考えると、未だに恐怖心を感じてしまいます。

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