恐怖の泉

実話系・怖い話「廃校の怪異」

これは私が20代半ばだった頃に体験した話です。
場所はWとOの県境にある、廃校での出来事です。

そこら近辺の山中や山沿いには集落が結構あり、その地域の子供が通う小学校があったりするんですよね。
まあ私より上の団塊世代や、私達の団塊Jr世代って人口が多かったので、小学校に通う子供も多くて普通に運営出来ていた時代でした。

でも私達より下の子供の数って激減してます。
市内中心部の学校ならまだしも、山中や山沿いの学校はこの影響を強く受けて、廃校になったのはよくある話でした。

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こういう廃校って心霊スポットとしては恰好の場所となります。
夜には真っ暗、周囲には何もないっていう状況だけでも心霊スポットとしては十分な迫力です。
そこに学校という要素(学校の七不思議等)も加わり、過疎地なので邪魔する人の気配はまったくありません。
そして何気に夜景がものすごくキレイなんです。
なのでカップルで行くのにも大人気なんですよね。

山へ登っていく途中に今回の舞台となる小学校の廃校はあるんですが、麓の方を見るとWの景色を一望出来ます。
Wは一応人口37万人ぐらいいる中核市ですので、景色や夜景って結構キレイなんです。
夜景はキレイですし人の気配もない…となると、彼女を連れて行きたくなるというものです。
私も下心アリで交際中の女性を連れてここに来ました。

残念ながら廃校の正門は閉まっており、中には入れませんでした。
まあそれはそれで好都合です。
本当の目的は彼女と夜景を楽しみ、そこからムフフな展開を期待してたわけですからね。

閉ざされた正門前に車を停めたままにし、車から降りて私と彼女の2人で周囲を散策しました。
グラウンドのフェンス越しに移動してると、少し坂になってました。
ちょっと急な坂でしたが、そこを上ってから振り返ります。
廃校前からの夜景もキレイでしたが、少し登ったことでさらにキレイな夜景が眼前に広がります。
彼女と肩を並べながら夜景を楽しんでいるとムード十分ってことで、彼女の肩を抱いてキスをしようとしました。
彼女の方もその気アリアリになってますし、もちろん抵抗なく受け入れてくれました。

人気のない場所、深夜、周囲には誰もいないし来る事もない。しかも彼女のテンションも高い等、こういうチャンスは滅多にありません。
そのまま行為を続けます。
最初は彼女も乗り気で受け入れてくれました。
しかし彼女の様子が急変します。
「イヤ」「やめて」といった軽い拒否じゃなく、もっと強烈なものです。

彼女と私は正面から抱き合ってました。
彼女の手は私の背中にあり、その手をバンバンバンっといきなり力強く叩くんです。
キスしてたので彼女の口からちゃんと声は出ませんが、「ンー!」と言い出します。

あれ、なんで急に彼女は拒否するようになったの?せっかく良い感じなのに…
私は呑気に考えてました。
とりあえずキスをやめ、彼女に「どうした?」と尋ねます。
すると彼女は学校の方を指差し
「アレ!アレ!」
とだけ言いました。

アレって何だよ?と思い、振り返って学校の方を見ましたが…私には深い闇の中に佇む廃校が見えるだけです。
特に違和感はありません。
でも彼女には何か見えるようです。

彼女は
「アレわかんないの?」
「すぐ帰ろう」
と私の手を引っ張り、正門前への車まで強引に連れていかれました。
車内に入ると、すぐ車を出して!と彼女から言われ、理由も分からず廃校を後にしました。

車を走らせてる最中も、彼女は何度も振り返って後ろを見てます。
しかも顔は真っ青で体をガタガタ震わせてます。

とりあえず麓の市街地まで戻り、事の顛末を聞きました。
彼女は正門前に着いた時から、妙な違和感を覚えていたそうです。
それでもまあせっかく2人っきりだし、雰囲気を壊すのもなーと思って私についてきたそうです。
で、雰囲気が盛り上がって私とキスをしている時、ちょうど廃校が丸見えになったそうです。
普通なら月明かりで学校があるなとボンヤリ見えるだけです。
なのに、なぜか学校内の窓ガラスに黒く蠢くものがはっきり見えたそうです。

普通なら暗闇で黒い物など見えるわけありません。
何だろう…と思っていると、蠢くものは窓ガラスから出て、こちらに向かって来てるように見えたそうです。
そこでこれはアカン!と思い、私の手を引っ張って車に逃げ込んだというわけです。
一応車を走らせてはいるものの、追ってきてはないかと気になって終始振り返っていたということでした。

結局その黒く蠢くものが何だったのかわかりませんし、彼女の気のせいかもしれません。
ただ彼女の青ざめ方と震え方は尋常ではなかったので、それ以来その廃校付近には近づかないようにしています。

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