恐怖の泉

実話系・怖い話「3艘の船が出る」

私の姉は看護師をしています。
何度か病院を変わっていますが、たいがいの病院に霊的な噂があるといいます。
中でも多いのが、患者さんが亡くなる前にお迎えが来るという話です。
姉は特に霊感がある体質では無かったのですが、不思議な体験をしています。

これは、姉から聞いた福岡県の某総合病院での実話です。

ある日、姉の先輩がオペに入る事になりました。
手術は無事に終わり容態も安定したその日の夕方、先輩は姉にこう言ったそうです。

「Yさん、もうダメだと思うから…。」

手術も成功して容態も安定しているのに…なんでだろう?
姉は先輩の話を軽い気持ちで聞いていたそうです。
ところが後日、やはりYさんは亡くなってしまったのです。

姉は先輩の言った言葉が気になっていましたが、聞く事はしなかったそうです。

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それから数日して、内臓の疾患で20代後半の元気な男性の患者Oさんが入院してきました。
比較的病気は軽い方で元気もいいし、姉と歳も近いのでよく話をしており
「退院したら、どこかへ一緒に遊びいこうよ!」
などと言い合っていたそうです。

そして姉に夜勤がまわってきた夜でした。
夜の病室を見回りに行くと、姉はOさんの病室へ黒い影のようなものが入るのを目撃したそうです。
何だろうと病室を覗くも、いつもと変わらない光景でOさんは寝息をたてて眠っており、変化はありません。
しかし次の日の朝、Oさんは容態が急変し緊急オペをすることとなりました。

その日のオペも無事に終わり、Oさんも落ち着いて一般病室に戻ることが出来、皆で良かったねと談話していたのですが…
先輩だけは、あまりその事について話をしたがらなかったそうです。

Oさんと仲良くしていましたし、先日の発言も気がかりだった姉は先輩の様子が気になり
「どうしたんですか?」
と訊ねると、先輩からこんな話を聞いたそうです。

「実はね…Oさんが手術の時、頭の所に4人の黒い人影が見えたんだ。Oさん、もう長くないと思う…。」

姉は前日の夜勤に黒い人影を目撃していたので、その話にドキッとしたそうです。
先輩はさらに

「頭の所の人影が5人になったら、患者さんが亡くなる。」

と続けました。
Yさんの時も枕元に5人の人影がいたそうです。

結局悪い予感は的中してしまい、Oさんは若いので回復も早かったそうですが、やはり容態が急変して亡くなってしまいました。

姉の働いていた病院には、以前からある噂がありました。
それは
「3艘の船が出る」
と言って、意味は立て続けに3人の方が亡くなることが多くあるらしいのです。
古くからその病院で働く看護師さんは、1人が亡くなるとおそらく2名後に続くだろう…と、つい思ってしまうそうです。
そして亡くなる患者さんには共通して、枕元に人影のようなものが5体集まって連れていくというのです。

Oさんが亡くなってから数日後、今度は高齢患者のMさんが階段で首を吊って自殺をしていたそうです。
夜勤明けの朝方に発見されたと言っていました。
もしかしたら、Mさんの枕元にも5人の影が来ていたのかもしれません。

姉の先輩の話によると、その5人の影は患者さんと関わりのある人物が多いようです。
人が亡くなる時、よく三途の川のような夢を見て、昔の知人が手を振っていたと言うのを聞きますが、自分の知り合い達が迎えにくるのかもしれません。

その病院の5体の黒い影は、ひょっとしたら知人の顔をした死神なのでしょうか…。

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