恐怖の泉

実話系・怖い話「遺骨を移したら」

これは数年前に、私の親戚が実際に体験した話です。

私の親戚の墓は納骨堂になっていて、一箇所に4、5個の遺骨しか納められない小さなものでした。
そこには私の祖父と祖母、ひいあばぁちゃん、そしてそこを管理していた私の叔父さんの子供の遺骨が入っていました。

ある日、自営業を営んでいた叔父は昔からの友人の保証人になり、その翌日友達は夜逃げをしてしまいました。
それも 1枚500万円の保証人の用紙を書かせ、間違っていたとうまく誤魔化してもう1枚の500万円の保証人の用紙を持ってきて、合計1000万円の保証人にならされていたのです。
自分の商売もあまり上手くいっていなかった叔父は、小さい子供が沢山いながらも泣く泣く破産宣告しなければならなくなりました。
持ち家も抵当に入り、何もかも無くした叔父夫婦は奥さんの実家へ引っ越して行きました。

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それから納骨堂は祖父の弟Aさんが面倒を見ていたのですが、自分たちも年を取っているし死んだら入る墓を買うお金もないため、納骨堂を自分たちの墓にしたいので遺骨を引き取るように叔父に言ったそうです。

叔父は苦しい生活の中、何とか奥さんの実家に墓を建てる事が出来、遺骨を持って帰って来ました。
そして叔父の両親と自分の子供、合わせて3人分の遺骨を、お坊さんにお払いをして貰ってから新しく建てた墓に納めました。

それから数年が経った頃、叔父さんから電話がかかって来て、どうもAさんの子供が亡くなったらしいからお悔やみに行ってくれないかと頼まれました。
余り付き合いが無かったものの、突然の訃報に私は驚いて出向きました。
すると何と遺骨が部屋に2つ置いてあり、聞くとそれはAさんの息子と娘のものでした。

事情を尋ねると、どうやら娘さんは白血病で入院していたのだそうです。
幸運にも息子さんの方と骨髄の相性が良く、移植手術も成功していたそうなのですが、突然容態が急変してそのまま亡くなってしまったと聞きました。
さらに娘さんの49日も終わらないうちに、今度は妹に骨髄を提供してくれた息子さんが見通しの良い道路で交通事故に遭い、亡くなったというのです。
あまりの不幸の連続に、Aさん夫婦はすっかり憔悴しきっていて、かける言葉さえ見つかりませんでした。

そんな出来事から数ヶ月後。
また叔父から連絡がありました。
なんと今度は、Aさんが亡くなったと言うのです。

子供たち2人が亡くなってまだ1年も経っていない時でした。
驚いてお通夜に行って話を聞くと、いつも通り元気にディサービスに行っていたのだけれど、突然倒れて病院に運んだ時はもう亡くなっていたのだとか。急性心不全との事でした。
一家族の中でこんなに立て続けに人が亡くなるものかと思いましたが、叔父さんは不安げに言っていました。

「お墓に今まで3個納まっていた所に、まるで空きを埋めるかのようにわずか1年で3人もの親戚が亡くなってしまったな…。」

確かに昔から
「お墓に空きがあると呼ばれる」
とか
「お墓を移動すると不幸が起こる」
なんていう話があります。
そういった迷信を信じる気にはなれませんが、つい超常的な理由を求めてしまうくらいに不幸が続いた体験でした。

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