恐怖の泉

実話系・怖い話「アパートの家賃が安かった理由」

私が若いとき、アパートを借りて住んでいました。そこは廊下が真ん中に有って、その左右に部屋が5部屋ずつありました。
2階建てで、全部で20部屋近くあったと思いますが、その一角にトイレや台所が有ったので、部屋数としては15、6くらいだったでしょうか。
そのアパートの裏は竹やぶで、少しはなれたところにお寺がありました。

高校を卒業して親元を離れ、知らない土地で一人住まいでしたが、そのうち寮を出てそのアパートに移り住んだのです。自由になりたかったのが大きな理由でした。
その部屋は家賃が結構安くて、その代わり6畳一間でした。

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住んでからいろいろと気づいたのですが、なぜか夜になると生臭い匂いがして、誰が何を焼いているのだろうかと思っていましたが、ほかの住人にも聞きにくくて我慢をしていました。
また2階に上がるところが靴脱ぎ場でL字型になっているのですが、そこに時々おばあさんが座っているのを見かけました。
はじめはびっくりしましたが、ふり返ってみるといなくなっていたり、またしばらくすると座っていたりでなんとも気持ちが悪いのです。そこで前から済んでるという女の人に聞いてみると
「ああ・・あんたも見たの。あの人幽霊よ。時々いるけど退いてというといなくなるわよ」
と簡単にいいました。そして
「だから家賃も安いのよ、みんな出て行くから」
と言っていました。

言われてみると、確かに部屋数の割には人の姿が少ないように思いました。

話ついでに、その女性に「あの生臭い臭いは」と聞くと
「ああ・・あれは向こうの土手のところに人焼き場があるのよ。夜になると、向こうから風が吹くから臭う」
のだとか…。

確かに高い煙突が見えていましたが、それが焼き場で幽霊まででるとあって、わたしはそれからすぐにそこを出ました。
もうずいぶん昔の話ですが、今でも恐くて嫌な思い出です。

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