後味の良い怖い話「父の声がした49日」
私は5年前に、実の父を病気で亡くしました。
父は77歳で残念なことに大腸がんという病気にかかってしまいまして、最終的には手のつけようがない状態となりました。
最後の日は入院先の病院で旅立っていきました。
私たち家族はそれから通夜を営み、次の日には葬式を挙げまして順調に事を進めていくことができました。
これで父も喜んであの世へ行くことができたと思いました。
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49日という法要がありますが、人間の魂というものは亡くなった後48日間はどことなくさまよっているということだと自分では考えておりました。
法要の日の朝、私は仕事の都合上朝5時くらいに起きまして、準備が整ったので家の玄関を出ようとした時でした。
「いいか、気を付けていくんだよ。」
どこからか大きな声が聞こえたのです。
私はハッとしまして周りをきょろきょろ見回したのですが、まだ辺りは薄暗く当然誰も見当たりません。
声はなんとなく高いところから聞こえたような気がしたのですが、あれは亡くなった父の声でした。
私は49日のことを思い出し、鳥肌がたちました。
身内なのでそこまで怖くはありませんでしたが、父の魂がまだ現世にあると思うと不思議な気持ちになりました。
それから数ヶ月後。
私は深夜に寝ている時に、なぜかふと父と話がしたいという思いにかられたんです。
それで心の中で
「父さん、そっちの世界はどんな感じなの?」
と、強く念じたんです。
すると不思議なことが起こりました。
私の部屋の横の通路から、なんと父が歩いている時の音がはっきりと聞こえてくるんです。
もちろん姿はありません。
父には歩く時、独特の癖というかリズムがあるのですが、その足音でした。
私は緊張からしばらく固まった状態になりましたが、もしかしてと思いまして姿を探そうとしたのですが、どれだけ探しても見当たりはしません。
足音は私の部屋の前あたりで止まりました。その後は何も起きませんでした。
これらの現象は、一体なんだったんだろうと今でも不思議な気持ちでおります。
もしかしたら、父親っ子の私の様子を見に来たのではないかと思ったりしています。
怖いという感情が多少ありましたが、それよりも不思議さと安心感というものが自分の中で生まれていました。
今日もどこかで父に会える、そんな気がしております。
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