恐怖の泉

実話系・怖い話「俺のことを供養してくれよ」

子供の頃、新潟県の或るキャンプ場へ家族で遊びに行った時、私は不思議な声を聞いたことがありました。
それは一言で言うと
「声は聞こえても姿は何も見えなかった」
という経験でした。

そのキャンプ場の外れにはバンガロー村という粗末な小屋の宿泊施設があったのですが、何年も使用されていないようで、誰も見向きもしませんでした。
家族皆でキャンプ場で一日楽しく過ごして、夕刻、私たちは帰宅の途につきました。その前に、私は最後に何気なくバンガロー村へ散策に出掛け、一人でブラブラしていました。
夕闇の迫る中、ふと見ると小屋は何だかとても不気味そうであり、私は急いで家族の元へと引き返しました。

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その時でした。私の背後から誰かが声を掛けてきたのです。
「おい、俺のことを供養してくれよ。俺を忘れないでくれよ」
その声は、そんなような意味の言葉を語りかけてきました。
驚いて振り向きましたが、そこには誰もいません。怖くてパニックになった私は、二度と振り返らずに駆け足で家族の元に戻りました。

その後、そのキャンプ場には二度と行っていません。風の便りでは土地再開発によってキャンプ場は海浜公園に生まれ変わったと聞きました。
結局、子供の頃に聞いたあの声が何だったのか、私には今でも分かりません。

ただ私が思うに、あのバンガロー村では以前、誰かが不慮の死を遂げてしまったのではないかと思います。さらに死体さえ誰にも発見されずに、寂しく取り残されていたのではないか…と考えてしまいます。
その時はとても怖い印象しかありませんでしたが、なんだか寂しくもあるような体験でした。

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