恐怖の泉

実話系・怖い話「満員御礼!!」

私は以前、舞台の裏方の仕事をしていました。その時に舞台のチーフから聞いた話です。

大阪南部の劇場で、客席数は400席ほどの中ホールがありました。現在はその劇場はなくなっているそうです。

劇場にはもちろん警備員がいます。
一日の催し物が終わり、スタッフは舞台のセットを解体し、それぞれの片付けや残った仕事を終えて帰りました。
最後まで残って客席や館内の点検をしてから帰るのは、警備員の仕事です。

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その日も一日の仕事が終わり、最後の点検をする警備員を残して、全員帰路に着きました。
ところが、翌朝劇場に出勤すると、警備員の奥さんから劇場に問い合わせが入りました。
「昨夜、家に戻らなかったが、どこに行ったか知らないか?」という内容でした。
全員、先に帰っているので誰も警備員のその後は知りません。

何かあったら大変だと思い、早めに到着したスタッフで一応館内を見て回ることにしました。
客席の一番後ろから眺めても姿は見当たりません。
客席の真上にある照明の部屋に行ってもいません。
館内の通路も見てまわりました。
最後に舞台上から客席をもう一度見ると、座席の影になって見えなかった場所に警備員が倒れているのが見つかりました。
みんなで慌てて駆け寄ると、警備員は白目を向いて、両手をパタパタと振りながら
「満員御礼!満員御礼!」
と小さな声で繰り返していました。

後日、その警備員に話を聞くと
「その日、帰る前にもう一度客席に入ったら、客席が満員御礼だったんです」
と言っていました。

その劇場の裏手には、大きな墓地がありました。

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