恐怖の泉

実話系・怖い話「自衛隊時代の恐怖体験」

あれは私が平成元年(1989年)の5月に高校を卒業後、故郷である鹿児島県東部を離れて、大分県北東部にある陸上自衛隊の第111教育大隊へ入隊をした直後の夏でした。

私は自衛隊営舎内において他の教育隊員達と宿泊をし、二段べッドの上で寝起きをしていました。
ある日、夏ということでたまたま怪談の話題となり何人かで話をしていると、同期生の1人が

「この教育隊では以前、銃の射撃訓練の際に何らかの事情で銃を乱射して、他の同期生や教官を射殺あるいは大ケガを負わせたうえ、自分も頭を撃ち抜いて自殺をした者がいる。その幽霊がここに出るらしい…。」

と、真偽の確かめようもないような話をしておりました。
私は途中で気味が悪くなったため、その話が終わった後にすぐ部屋へ戻りました。
そしてその夜、恐ろしい体験をしたのです。

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私が寝てから約1時間くらい経った頃でしょうか。急に金縛りになりました。

本当に初めての経験でしたので、怖くて目を開けたりする事も出来ず、じっとしておりました。
すると今まで聞いたことも無いような、恐らく地元の別府市内や大分県内の方言?のような言葉が、寝ている私の左耳側からささやかれてきました。

あまりの恐怖に周囲を確認する余裕など心理的にもなく、その声の主も男性なのか女性なのか皆目見当や判断もつきません。
なんとか状況を打破しようと声がする方向へ目をやると、何か白い容姿をした人のようなモヤが二段べッドの左側に立っておりました。

恐怖が最高潮に達した私は、金縛りが解けて布団を頭から被り
「出たーっ!」
と大声で叫んだ記憶があります。
すると周りにいた同期生や当直陸曹の方などが飛んできて、その日の明け方は大変な騒ぎとなりました。

怪奇現象の体験自体が生まれて初めての事であり、恐怖以外の何物でもありませんでしたので、私は半ばパニック状態です。
その後はたまたま休日であったという事情もあり、私は1日中中隊で事情聴取をされました。

しかしどうやら話を聞いてみると、私のべッドの下で寝ていた同期生、別の部屋で寝ていた同期生も、それぞれ私が体験をする前におかしな体験したという話をしていました。

別の部屋の同期生は、2日前に同期生と世間話をしていると、青白い女性の顔が寝ていたべッドの左側窓から覗き込んできたと言っていました。
私の下で寝ていた同期生は、彼自身に霊感があるらしく、不穏な空気を感じてお守りを肌身離さず持っていたことを話してくれました。

それらが私の体験と関連性があるのかは確認しようもありませんでしたので、未だにあの体験の原因はわかりません。
別府の教育隊での怪奇現象はこれだけでしたが、やはり面白半分で怪談などをした事に原因があったのではないかと…自分なりに今では回顧しています。

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