恐怖の泉

実話系・怖い話「トンネルでの肝試し」

これは20年程前、私が20歳の頃に体験した恐怖体験です。

私は20歳の時に専門学校へ通っており、そこで仲良くなった友人4人がいました。全て男性です。
仮名として、A、B、C、Dと呼ぶことにします。

2年生の夏休み直前に、友人Aがバイト代を貯めて突然車を購入しました。
もちろん中古ですが、私たちは全員免許証は持っていたものの車を購入出来る程の経済力がなかったので、ビックリしたのを覚えています(学生で車を購入する方が凄いですね)。
車を購入した友人Aの提案で、いつも一緒にいる私を含む5人でドライブに行くことになりました。
そこでどこに行くか?と話し合いになりました。

まず、行く日は全員がアルバイトの休みを合わせられる日であること!
これはまぁ問題なかったんですが、どこに行くかで意見が分かれました。

私は観光地、BとCは海、Dは夜景を見に山へと、モテない男どうしの話は尽きません。
ここで沈黙を破り、車の持ち主のAが心霊スポットとして有名な○○○トンネルへ行こうと言い出しました。
出発時間は夜の8時、出ると有名だけどこの手の噂のトンネルなんていくらでもあるから行ってみようぜ!と、全員ノリノリで行くことに決定しました。

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そして当日。
Aが私を始めB、C、Dを車で拾ってトンネルへドライブする流れでスタートしました。
行きの車の中では、霊なんて出る訳ないけど楽しみだな~などと若者らしく盛り上がり、1時間半のドライブを楽しみました。
目的地のトンネルは旧道にあり、既に使われていない状態で自分達の様な若者が肝試しに来る程度のようです。
道は狭く車がすれ違うのがやっとの感じで、なんとも不気味でした。

Aは車を走らせトンネルを抜けたところで停めました。
ここで降りて、歩いてトンネルを探検しようという話になりました。
全員分の懐中電灯をAが準備してくれていたので、各自持ってトンネルへと向かいます。
しかしその前に私は小用をもよおしたので、後から来いと言われて仕方なく用を出して懐中電灯をつけて皆の後を追う形になりました。

ところがおかしなことが起こりました。
ゆっくりと進んでいるはずの4つの懐中電灯の光のうち、1つが止まっていたのです。

最初は友人の内の誰かが自分を待ってくれていると思い、急いで懐中電灯の光の方へ行きましたがなかなか近づかず、そのうち出口へ出てしまいました。
出口で待っていたのはAとBとCの3人。Dの姿がありません。
「あれ?Dは?」
と聞くと、はぐれたと言うのです。

はぐれたって…トンネルの中は真っ暗とはいえ一本道で、脇道などありませんでした。
いまならDの携帯へ電話となるのでしょうが、携帯電話はおろかPHSもポケベルもない時代です。
とりあえず探そう!となった私達は、また誰かがはぐれたらいけないのでお互いに手を握り、懐中電灯の光をつけて来た道を引き返す事にしました。
来た道を引き返している途中で全員気が付いたのですが、トンネルの中間地点で懐中電灯の光が点灯していました。
さてはDが中間地点で自分達を驚かせるために、ふざけてこんなことをやってるんだなと思い安心しました。

…ですが、光はいつまでたっても私達に近づかず、気が付いたら反対側の出口に4人共出ている状態でした。
再度振り向いてトンネルを見ると、懐中電灯の光は点灯しています。
私はここで、先ほども同じことが起きた話しました。

暗くて皆の表情は見えませんでしたが、きっと全員が恐怖で真っ青だったことでしょう。
私は初めて冷や汗というもので服がびっしょり濡れました。

Aが
「車で光の所まで行こう!」
と言い出しましたが、やはり車でも光に辿り着くことはなく、ただトンネルを抜け出すだけでした。
どうしようもなくなった私達は、そのまま車で警察に捜査願いを出すことにしました。

もう夜も遅い上に山の中なので、警察もすぐには捜査できず翌日の朝から探し始めました。警察犬も出ての、私達4人も同行しました。
警察犬の数匹はトンネルの中央で足を止め吠え、怯える様子の犬も出ました。
しかしDは見つからず、懐中電灯とDが気に入って被っていた帽子だけがトンネルの中ほどに落ちていました。血痕などは一切ありませんでした。

警察は事件、事故、失踪などで捜査してくれましたが、結局Dは20年経った今現在も、行方不明のままです。
一緒に行動していた私達4人は一時容疑者になりましたし、警察からも怒られました。

私はDのご両親に申し訳ない事をしたと思い、友人4人で謝罪しに行こうと話しました。
すると、AとBは犯罪をした訳ではないし謝罪までする必要はない、こちらも警察で容疑者扱いされたと言い、謝罪する気はないようでした。
私とCはDの両親へ連絡を取り、自分達が軽はずみな行動を取ったばかりにDが行方不明になってしまったことを謝罪しました。
D親からは、Dの分もしっかりと生きていく様にとのありがたい言葉をいただきました。

その後ほどなくして、謝罪に行かなかったAとBが立て続けに交通事故で亡くなりました。
事故とDの失踪には、何か関係があるのか…私にはわかりません。

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