実話系・怖い話「鉱山後がある山」
わたしは山岳部に入っていました。これは部としてではなく、同じ部の友達と二人でプライベート登山をしたときの話です。
授業が終わってすぐ山へ向かいましたが、登山口の駅についたときはもう日は落ちて、暗くなっていました。
それからバスに乗って終点まで行き、登山口着いたころには10時近くになっていました。
初めて行く山でしたが、途中までは生活道の一部で苦労もなく上りました。そこにあった鉱山住宅には外灯がポツリポツリと有るくらいで、静まり返って物音一つしませんでした。
ところが突然地響きのような音がしたと思うと、鉱山電車がトンネルの中から目の前に轟音を立てて出て来ました。
その電車には、工夫がうずくまったまま腕組みをし俯いていました。寝ていたのでしょうか、みんな同じような姿勢で頭を垂れていました。
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始めてみた深夜のその鉱山電車の異様な感じに、死人を乗せて走る地獄行きの列車を想像してしまいました。試しに電車に大声で「おーい」と声を掛けましたが、誰も見ることもなく轟音を立ててその電車は行ってしまい、そのあとすぐに静寂が戻りました。
なんだか恐くていやな予感がしました。
この山では、昔鉱山が荒れて山津波で大勢死んだことは知っていましたから、何となく恐怖感に襲われたのです。
それから谷川沿いに登山道を上って行きましたが、後ろからひたひたと足音がして、誰かがついてきているのが分かりました。
ふり返っても誰もいませんが、しばらく歩くとまた音がし始めました。
恐くて途中で友達に後ろに回ってもらいましたが、無人のヒュッテに付いたころには疲れ果ててそのまま寝袋に入って寝てしましました。
今ではその鉱山後は観光地になっていますが、私と友人はなんとなく恐くて、それ以来その山へは足を踏み入れていません。
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