恐怖の泉

実話系・怖い話「足が止まる階段」

これは私が結婚した後、子供ができて2度目の引越しをした家で体験した話です。

その家は丘の上の住宅街にあり、2階建てで庭もある普通のお家でした。
大きな都市のベッドタウンであるこの地域で、まだ幼い子供と住むことに決めました。
下見には2度ほどきたのですが、その時は何かを感じるといったことはありませんでした。

異変は引っ越してきた2日目の夜に起きました。

その晩、私は疲れているにもかかわらず目が冴えていました。
睡眠時間が短いとイライラしてしまうので無理やりまた寝ようと寝返りを打ったのですが、なかなか寝付けないのです。
新しい家になったから緊張状態なのかなぁと少しあきらめ気味に、ぼんやりしていました。

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携帯を見ると夜中の2時前。まだまだ夜は長いし、youtubeで何か聞きながら寝ようかなとスマホをしばらくいじっていました。
そしてお気に入りの動画をイヤホンで聞きながら目を閉じなんとなく過ごしていました。

隣では旦那が大きないびきをかいて寝ていて、その両サイドで子供たちが気持ちよさそうに寝ています。
子供たちが布団をはいでいたので、布団をそっとかけ直して戻った時です。

トンッ…トンッ…

足音のような音がします。
布団の中で
「えっ?誰かいる?」
と一瞬頭の中が真っ白になりました。

「どうぼう?どろうぼなの?」
と頭の中でスイッチが入り、すぐに臨戦態勢がとれるように携帯電話を引き寄せ何があってもいいようにしました。
その間にも「トンッ…トンッ…」と足音はゆっくりした歩調で上がってきます。
そして、トンッと最後の音がしてシーンと静かになりました。

私たちが寝ていた部屋は階段を上がったすぐ左側。つまり、足音の主が引き戸の向こう側にいることになります。

ずいぶん長い間じっとしていたような気もします。
上がってきた誰かは最後の音を立ててから、一度も動いた気配がありません。

「その引き戸の向こうに誰かがいる」
その緊張感が私を包んでいました。

それにしても全く動かない何者かに、私は少しずつ疑問を抱くようになりました。
「おかしい、少なくとも5分は全く足音が聞こえない。泥棒ならさっさと仕事して出て行きたいはず…まさか…」
私はそーっと音を立てずに引き戸傍まで行きました。
人の気配はありません。
思い切ってパッと引き戸を開き、外を見ましたが誰もいませんでした。

下にも降りて確認してみましたが、どこも鍵がかかっていて開いた形跡はありませんでした。

それからです。
家の中でミシッピシッと音がするようになり、夜中に階段を登る足音も不定期に続くようになりました。
さらに階段を上がっていると勢いがついているにもかかわらず、ある一段でどうしても足が止まってしまうのです。
感覚的には足を引っ張られているような感じというのでしょうか。なぜか足が止まります。

しかし、こういった異変をこの家に感じるのは私と下の子だけです。
下の子は階段を極端に嫌っていて、夜は近づきません。
あまり気にはしないようにしていますが…幽霊の仕業なのでしょうか。

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