恐怖の泉

実話系・怖い話「トイレの窓の向こう」

これは私が小学生の頃の話です。
小学校の図書館のトイレで、奇妙な体験をしました。

その時は下校前の掃除の時間で、私の班はトイレ掃除を担当していました。
場所は校舎の1階、奥まった所にある図書館の女子トイレでした。

女子トイレを担当した生徒は私の他にも2人いて、いつものように何てことない話をしながら清掃をこなしていました。
掃除の時間終了の少し前に先生が来て、しっかり掃除ができているか確認した後解散になりました。
他の2人が用具を片付けたのを見て、私も手にしていたモップを用具入れにしまい、最後に窓に鍵がかかっているか確認しようとしたその時でした。

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バンバン!

激しく窓ガラスが何者かに叩かれて、大きな音を立てていました。

窓の下の方に肌色の手形の様なものが辛うじて見えていましたが、すりガラスなのでそれが本当に手なのかはハッキリわかりません。
当時血気盛んだったし、まさか幽霊の仕業かもしれないなんて思ってもいなかった私は、臆することなくバッと窓を開けました。
図書室は1階にあったものですから、馬鹿な生徒が悪戯でやったんだろうと思ったのです。

ところが、窓を開けて見てもそこには誰も何もいませんでした。

窓が叩かれてから開けるまでの反応時間はかなり短かったので、逃げ隠れすることもできないでしょう。
それに人が走り去るような音もありませんでした。

この窓がある高さは1m30cmくらいで、手形の位置からすると低学年の生徒による仕業と考えるのが妥当でした。
しかし低学年の生徒は早くに授業が終わり、もうとっくに帰宅している時間帯です。
窓の下にでもしゃがんで隠れてるのではと思って身を乗り出してみましたが…誰もいません。
窓の向こうは生徒が使えないことになっている裏門があるだけで、校舎の形状ものっぺりしたものですから隠れられる死角もありません。

おかしいと思い、まだトイレの手洗い場の所に残っていた班員に
「ちょっと前にガラスを叩く音しなかった?」
と聞いてみました。
私の記憶が正しければ、窓が激しく叩かれた時、他の生徒はトイレのタイル張りの所、つまり私からそう離れていない所にいました。
あれほど大きな音ですから、同じ空間にいれば聞こえないわけがありません。

しかしその生徒は
「何も聞こえなかったよ。」
と言いました。

自分の方がおかしいのかと思い、不思議に思いながらも開け放った窓を閉じました。
そしてトイレを出ようとしたその時

バンバンバンバン!

先程よりも更に激しく窓が叩かれました。
窓の下の方には、またしても手形のようなものが見えます。

さすがに今度はその班員も気づいたのか
「は?誰だよ、超やかましいんだけど。」
と顔をしかめました。
私は
「さっきから何か悪戯されてるっぽい。怒鳴ってやるか。」
と言って、再び窓を開きました。
「うるせーんだよクソ野郎!」

勢いよく怒鳴ったはいいものの…やはり窓の向こうには誰もいません。
班員も先程までガラス越しに見えていた手形の主が消えたので、不審に思ったようです。

「さっきもこんな感じでさ、叱りつけてやろうと思って窓開けたら誰もいなかったのよ。」
「えー、隠れてるんじゃね?」

皆が私と同じく身を乗り出してみましたが、やはりそこには裏門しかない寂しい校舎裏の空間があるだけです。
遮蔽物も何もないし、いくら子供といえど身を隠すことができる物は何も置いてありませんでした。

スッキリしない気持ちではありましたが、HRに遅れるのも嫌だったので私達は教室に戻ることにしました。
手洗い場で手を洗って、図書室用のスリッパに履き替え、トイレのドアを締める時にチラッと窓を見ました。

するとそこには、人の頭そっくりな黒い何かが、何の音も立てずに佇んでいたように見えました。

恐怖を感じ、私たちは急いで教室へと戻りました。

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