人間の怖い話「某オンラインゲームで知り合った男」
私は学生時代、某オンラインゲームに熱中していた。
なかなかにマニア向けなゲームだったためかプレイヤーの年齢層は全体的に高めで、女性比率なんて0.1%くらいしかなかったと思う。
そんな中、私は女子学生プレイヤーでたまにランカー入りしていたので、珍しがった人からチームの勧誘なんかもたまにされていた。
女子校に通っていた身としては、当然身近にそうしたゲームの話ができる人がいなかったから、遊び仲間はそういった勧誘やネットのメル友サイトでフレンド募集をしていた。
数人の男性からメールが来たのだが、何となく一番感じが良さそうだった会社員・28歳の男性(仮にAと呼ぶ)とメインでやり取りすることにした。
彼には他のゲームの趣味もあったので、ゲーム好きな私にはもってこいな相手だった。
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メールで世間話をするようになって少し経った頃だろうか。
相手は文面から、私が女だということに初めて気がついた。
それまでは自分から性別を明かしていなかったし、一人称が「私」だったので丁寧な男性だという印象を与えていたらしい。
女であると知ってから、彼の態度が段々変化してきた。
メールの頻度も上がったし、私のことを話の中で持ち上げることも多くなった。
Aからねだられて顔写真を送ったところ、Aの機嫌はますます良くなった。さらには付き合いたいみたいなことも言うようになった。
当時あまり世間を知らなかった私は自分の名前、そして大体の住所(○○県の上の方などとアバウトに)を教えてしまった。
非モテだった私としてはチヤホヤされることが嬉しかったので、Aがまさかあのような奴だとはこの時、気づかなかった。
それから1ヶ月くらい経って、野良の戦闘で貢献した私はBという男性からチームの勧誘を受けた。
その時私はAのチームに入っていたので、Bのチームで技術を磨いてきていいかと、Aに相談した。
Aはすんなりと承諾した。
晴れてBのチーム入りを果たした私は生活がそちら中心に動いていき、Aのことなんてお構いなしになっていた。
Bのチームは本格的に始動していたので切磋琢磨するのが楽しく、毎日が刺激で溢れていたからだ。
私がチームで上手くやっていると言うと、Aも嬉しそうにしていた。
しかししばらくして、Aから
「最近全然俺と話さなくなったじゃん。そんなに入り浸られるとは思わなかった。チーム抜けろ。」
と言われた。
しかし私は頷かず、Bのチームで活動を続けた。
それからも彼からのメールは嫌がらせのように散々続いた。
他の興味ないメル友に対するように無視していれば良かったのだが、彼は私をヨイショしてくれる数少ない男性だったし、このままスッパリ切り捨てるのも悪い気がした。
だからチーム活動はそのまま維持するが、Aとのメールも毎日数通でもやるようにしよう、ということで折り合いをつけた。
それからというもの、私が毎日相手をしているにも関わらず突然ブチ切れることがAにはあった。
私の対応が気に入らない、というのは一番よくネチネチ言われた。
嫌になったならいっそブチってくれればよかったと思いながらも、私は関係を続けた。
Aは私の写真を度々欲しがったし、ある時は声を録音したものを聞かせてほしいと言われた。
当然どちらも何度も断ったが、断る度に鬱になる+病的なまでに攻撃的になる反応がウザくて、終いにはどちらも送ってしまった。
顔写真は色々なパターンを送らさせられたが、Aは特にパジャマ着用のものと下着着用のものを有り難がった。
Aは寝る前には必ず私の写真を見るし、送った声も聞いていると言った。
ある日突然、私の家のポストにレターパックが届いていた。
差出人を見ると、驚くことにAの名前があった。
私は詳細な住所までは教えていない。どうにかして調べあげたのだろうか。
ずっしりと重いそれは開けてみると、一通の封筒と黒いビニール袋に包まれた何かが入っていた。
同時に、鼻を刺すような臭いが漂ってきた。
ビニール袋の中身はTシャツだった。
触ると、ぐっしょり湿っていた。
その日の夜、Aから
「贈り物見てくれたかな?これを送るために、1日中ジムに篭ってシャツが汗だくになるまで運動しまくったんだ。俺の匂い嗅いだら興奮するかなw」
というメールが来た。
翌日丁度燃えるゴミの日だったので、私は速攻でTシャツをゴミ箱に放り込んだ。
同時に、封筒に入っていた手紙も気色悪いラブレターの様なものだったので捨てた。
私の住所をどうやって知ったのか…。気味が悪くて聞く気になれなかった。
それから2、3ヶ月ほど経った頃、またポストにレターパックが入っていた。
開けてみると、1通の手紙と小さな瓶のようなものが入っていた。
旅行用に化粧水を詰めて入れる小さな容器、それに液体が入っている。
白くところどころ濃くなっていて、瓶越しに見た感じではドロドロとしている。
夜、Aからメールがあった。
「そろそろレターパック届いたんじゃないかな。今回はまた手紙を書いたぞ^^
それと俺の精液も入れておいたから、良かったら使ってねw」
私が何か分からなかった液体はAの精液であるらしい。
私はレターパックをゴミ箱に投げ込むと、何かに憑りつかれたように手を洗った。
ここにきて私もやっと不気味さが怒りに変わり、こんなもの送ってくるなとAに抗議した。
しかしAは
「本当は嬉しかったんだろ。素直じゃないな。」
と全く相手にしてくれない。
親に相談するぞと言ってみても(とは言っても、この時私の親は海外赴任していなかったが)、Aは
「もう俺達両親公認の仲なんじゃないの?少なくとも俺はそうだ。」
と訳の分からない浮かれたことを言っている。
私はうんざりし、Aの相手をするのを止めた。
2ヶ月ほど経った頃、また私の元にレターパックが届いた。
開けると、手紙と袋に女物のパンツが入っていた。
パンツは新品で、A曰く
「これから1日中履いて、○ちゃんの匂いが染み付いたと思ったら洗う前に俺に送って。」
とのこと。
更にAは
「○ちゃんの唾液が欲しい。俺がしたみたいに、容器に入れて送ってよ。」
とねだってきた。
丁度その時は、年度が変わる手前の時期だった。
私は生活の変化が原因で、もうAとは今までのように頻繁にやり取りできないこと、住所ももう少し経てば変わってしまうことなどを伝えた。
少なくとも半分は本当である。
この時私は新学期の準備で少し忙しかった。
私は今回送るレターパックをもって、このやり取りは止めようとAを説得した。
しぶしぶ納得するA。
当たり前だが、私は自分の匂いを付けたパンツも唾液も送る気はさらさらなかった。
パンツは袋から広げてたたみジワを伸ばした程度、唾液は水と色々な素材を混ぜ合わせてそれっぽいものを工作した。
それを受け取ったAは
「このパンツ本当に1日履きつぶしたのか?全然匂いしないんだけど。」
と言った。
私は
「身だしなみに気を使ってる女の匂いなんて、1日履いててもそんなもんだよ。」
とはぐらかした。
パンツは不評だったものの、自家製の似非唾液はかなり好評だった。
「少しとろみがあって綺麗だなあ、これが○ちゃんの唾液か。見てるだけで興奮してくる。」
そして数日後
「あれから毎日、寝る前に○ちゃんの唾液を飲んでたんだよ。キスするみたいで凄く美味かった。」
とメールがあった。
私はそのことには触れず、後日別れを切り出した。
失望させるようなことをすれば激高した後鬱のように萎える、という性質がAにはあった。
だから私はAをがっかりさせるようなことを言いまくった。
するとAは偽善者がどうのこうの、家に行ってやろうかなどと捨て台詞を吐いて以降メールを送ってこなくなった。
それから暫くは植え込みの陰にAがいるんじゃないかとも思ったが、数年経った今でもAは訪れていない。
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