実話系・怖い話「霊感なのだろうか…」
整形外科病棟にて働いていた頃の話です。
職場は大学病院の分院のような病院で、明治時代に建てられ窓ガラスの桟からの隙間風を感じるような病院でした。
整形外科病棟は以前は手術室だったと聞いていますが、私が働いた頃には手術室の面影など全く感じられない病棟でした。
大部屋が3、3人部屋2、2人部屋2、特別室が1のベッド数30床程で、教授の専門は難病や腫瘍などの生死に関わる疾患が少なく、気持ちの負担が少ない病棟でした。
それでも手術は半日~7、8時間かかる場合があり、術後管理は気が抜けないものでした。
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ある時、ナースステーションで記録をしていると、師長や研修医が出入りする入り口から患者様のご家族様から
「吐いているので診てください」
と言う声が聞こえました。
私は記録に夢中だったのでご家族様の顔を確認せず、大声で返事だけをしてバイタルチェックの準備に立ち上がりました。
しかし研修医と周りのスタッフは、一斉に私を不思議そうに見上げていたのです。
「術後の患者様が具合が悪いといっているのに、皆何をのんびりしているのだろう?」
私は不思議に思いましたが、早く病室に行きたいのでナースステーションを後にしました。
病室を訪問するとご家族様の姿は無く、確かに患者様は苦しそうにしていましたが吐いている様子も無く、全体の状態をチェックしてナースステーションに戻りました。
ステーションに戻るとすぐに研修医達が
「さっきは誰と話をしたんですか?」
と聞いてきました。
真実を伝えたのですが、誰も私が聞いた声を聞いておらず、患者様も吐いていなかった事からうやむやになってしまいました。
その術後患者のご両親様は亡くなっていたのですが、患者様自信が後日、手術直後に両親が病室に現れたと話してくれました。
あの時の声は患者様の御両親様だったのかなぁ?と思っています。
その体験からおよそ2年後。深夜勤でも不思議な体験をしました。
2人勤務でしたが、1人が休憩に入っていた2時14分の時でした。
人体骨格標本の近くから女学生数名の甲高い声が聞こえてきたのです。
その時はナースステーション隣にある女性部屋の患者様のお喋りと思い、そのまま巡視をしたのですが、どの部屋も静まり返っており患者様は皆寝ていました。
外での声かな?と思い窓を開けて確認したのですが、声は聞こえません。
ですが窓の戸を閉めて暫くすると、また甲高い声が始まるのです。
私は声の正体を探し病棟中を回り、汗ダクダクになりながら
「ひょっとして幽霊?」
とも思ったのですが、怖い感じもなかったので暫く放置しました。
ナースステーションに戻り、雑誌を読んで気を紛らわせていると…また聞こえてきました。
何を喋っているのかわかりませんが、甲高い声が不気味なので、私は大声で怒鳴ってしまいました。
すると声はピタッと止まり、以後は聞こえなくなりました。
この2つの体験は今でも時々思い出します。
私は霊感などないと思っているのですが…自分で気がつかないだけなのかもしれません。
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